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税務会計面からの民事再生法と「DIP型」会社更生法の比較No.5。「期限切れ欠損金(特例欠損金)」等の税務上の繰越欠損金の適用順序。

 前回からだいぶ時間が空いてしまいましたが、株式会社クリードなど申請が相次ぎ、新たな事業再生のトレンドと言われる「DIP型」会社更生法を、同じく「DIP型」の事業再生手法である民事再生法と、税務会計面から比較させていただく第5回。

 今回は、「期限切れ欠損金(特例欠損金)」等の税務上の繰越欠損金の適用順序についてです。

 「事業年度独立の原則」といって、前期からの繰越欠損金は、当期の所得計算上無関係というのが法人税務の考え方です。

 しかし、企業の資本維持の観点や課税負担の平等の観点から、青色申告法人では、当期前7年以内の事業年度に生じた欠損金は、当期の所得から控除できる、いわゆる「青色繰越欠損金」の制度が設けられています。

 さらに、民事再生法や会社更生法に関しては、当期前7年超の事業年度に生じた、いわゆる「期限切れ欠損金(特例欠損金)」であっても損金に算入できる制度が設けられています。

 前回の財産評定損益(資産の評価損益)と同様に、実務上、債務免除益課税対策として大変重要となる部分で、民事再生法に関しては平成17年度税制改正で重要な改正が行われています。

■民事再生法での税務上の繰越欠損金の適用順序

・財産評定損益の処理として開始決定時評価換え(損金経理方式)を採用した場合

 債務免除益、私財提供益が生じた場合(この方法では財産評定益は益金不算入)、「期限切れ欠損金(特例欠損金)」であっても損金に算入できる制度が設けられていますが、損金算入の適用順序を簡単に説明すると以下の通りです。

 ①評価損やその他による当期損失→②「青色繰越欠損金」→③「期限切れ欠損金(特例欠損金)」

 「期限切れ欠損金(特例欠損金)」の使用限度額=<債務免除益+私財提供益+財産評定益の合計額が「期限切れ欠損金(特例欠損金)」の損金算入前の課税所得を超える場合、「期限切れ欠損金(特例欠損金)」の損金算入前の課税所得

 したがって、平成17年改正前からの開始決定時評価換え(損金経理方式)を採用した場合は、債務免除後に「青色繰越欠損金」が残らず、税務上繰越欠損金を「捨てる」ことになってしまう可能性が高くなります。

・財産評定損益の処理として認可決定時評価換え(別表添付方式)を採用した場合

 債務免除益、私財提供益、財産評定益が生じた場合、「期限切れ欠損金(特例欠損金)」であっても損金に算入できる制度が設けられていますが、損金算入の適用順序を簡単に説明すると以下の通りです。

 ①評価損益やその他による当期損失→②「期限切れ欠損金(特例欠損金)」→③「青色繰越欠損金」

 ただし、「期限切れ欠損金(特例欠損金)」の使用限度額=<債務免除益+私財提供益+財産評定益-「資産の評価損>資産の評価益の場合のNET資産評価損」。

 かつ、「期限切れ欠損金(特例欠損金)」の使用限度額=<債務免除益+私財提供益+財産評定益の合計額が「期限切れ欠損金(特例欠損金)」の損金算入前の課税所得を超える場合、「期限切れ欠損金(特例欠損金)」の損金算入前の課税所得

 したがって、平成17年度税制改正で新設された認可決定時評価換え(別表添付方式)を採用した場合、開始決定時評価換え(損金経理方式)を採用した場合に比べ、債務免除後に「青色繰越欠損金」が残り、税務上繰越欠損金を「捨てる」ことになってしまう可能性が低くなると思われます。

■「DIP型」を含む会社更生法での税務上の繰越欠損金の適用順序

 債務免除益、私財提供益、財産評定益が生じた場合、「期限切れ欠損金(特例欠損金)」であっても損金に算入できる制度が設けられていますが、損金算入の適用順序を簡単に説明すると以下の通りです。

 ①「期限切れ欠損金(特例欠損金)」→②財産評定損益やその他による当期損失→③「青色繰越欠損金」

 ただし、「期限切れ欠損金(特例欠損金)」の使用限度額=<債務免除益+私財提供益+財産評定益。

 したがって、民事再生法の認可決定時評価換え(別表添付方式)を採用した場合と比べても、「資産の評価損>資産の評価益の場合のNET資産評価損」を「期限切れ欠損金(特例欠損金)」よりも先に使用しなくてよく、その他による当期損失も「期限切れ欠損金(特例欠損金)」よりも先に使用しなくてよいため、税務上繰越欠損金を「捨てる」ことになってしまう可能性がさらに低くなると思われます。

■上記からわかること

 今回の記事ではあえて詳しく触れませんでしたが、「期限切れ欠損金(特例欠損金)」等の税務上の繰越欠損金の適用順序についての条文の読み方は、「そう読むんですか」と我々プロの研修会でも驚きの声が上がるほど、大変難解です。

 平成17年度税制改正で、かなり近づいたものの、「DIP型」を含む会社更生法の方が、民事再生法よりも、「期限切れ欠損金(特例欠損金)」等の税務上の繰越欠損金の適用順序につき有利な場合がありますので、スキームの選択の際には十分に注意されるのがよろしいかと思われます。

 

 

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コメント

大変勉強になりました。DIP型更生法での取り扱いを理解する前提として、民事再生・会社更生での再生税制を理解しないといけないのでしょうが、なかなか明瞭に整理できずにおりましたが、このブログのおかげで、道筋が見えた気が致します。ありがとうございました。

投稿: 再生会計士 | 2009年6月 5日 (金) 00時34分

再生会計士さん、コメントありがとうございます。
当ブログで「道筋」を確認していただけたら光栄です。
ただし、平成17年税制改正の条文の読み方は本当に難しく、実務上の税務会計の判断をされる場合は、改正に関与され、財務省の立法担当者に条文の読み方を直接確認された税理士稲見誠一先生の、「ケース別にわかる企業再生の税務」中央経済社をご参考に、さらに慎重に判断されることをお勧めいたします。

投稿: Accounting&Music | 2009年6月 5日 (金) 01時30分

どうもありがとうございます。稲見さんとは一緒に仕事をしたこともあるのですが、なんであんなに本を書く時間があるのか不思議です。たしかにこの本は17年改正での条文の読み方を分かりやすく解説しているなぁと思います。資産評価損益・期限切れ欠損金のあたりの条文が読みにくいのと、私的整理に当たっての準用の読み方(文書回答事例等)、債権者側の税務・基本通達あたりは、再生税務のもっとも基礎的な制度設計部分だと思いますが、難解すぎて、何度も読んでいるうちに、「ハマッて」しまいます。また良い本がありましたらご紹介賜れればと思います。

投稿: 再生会計士 | 2009年6月 6日 (土) 16時07分

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