平成21年(2009年)税制改正でこうなるNo.1。中小法人等に対する軽減税率の22%から18%への時限的引き下げ
ねじれ国会による混乱から1ヶ月遅れで成立した前年と異なり、平成21年度税制改正法案は、3月27日に成立し、3月30日に公布、一部を除き4月1日より施行され、年度内に決着。
本年も、複数回にわたって、税制改正によりどこがどう変わったのか概要を確認して行きたいと思います。
まずは、中小法人等に対する軽減税率の22%から18%への時限的引き下げについてです。
■従来の制度
各事業年度の所得に対する法人税の税率の概要は以下の通りです。
・普通法人:資本金の額若しくは出資金の額が1億円超
・特定目的会社
→ 一律:30%
・普通法人:資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下、資本若しくは出資を有しないもの
・一般社団法人等
・人格のない社団等
・協同組合等(特定協同組合等の10億円超の所得については26%)
・公益法人等(学校法人、社会福祉法人等、宗教法人他)
・特定医療法人等(国税庁長官の承認を受けた医療法人)
→ 年800万円以下の所得:22% 年800万円超の所得:30%
■改正点
中小法人等の資金繰り対策等のため、上記の22%の軽減税率が、平成21年4月1日から平成23年3月31日までに終了する各事業年度の所得については、2年間の時限措置ではありますが、18%に引き下げられます。
法人住民税法人税割も、法人税額×17.3%~20.7%という算式で算出されますので、該当する法人については引き下げになります。
■適用時期
繰り返しになりますが、平成21年4月1日から平成23年3月31日までに終了する各事業年度の所得について、適用されます。
■上記から感じること
中小法人等にとってはありがたい改正で、開始事業年度ではなく、終了事業年度で適用する点も、経済危機への対応の迅速化の観点から評価できます。
これを機会に、内部留保の強化による株主(自己)資本比率の向上を図るのも良いかと思われます。
また、中小法人等の800万円以下の部分の住民税・事業税を含めた実効税率は、従来約31%だったのが約26%に引き下げられます。
個人の所得税と住民税の課税が、
・所得695万円以下:所得税20%+住民税10%=30%
・所得695万円超所得900万円以下:所得税23%+住民税10%=33%
であることを考慮すると、単純に節税という観点から、法人に留保するという選択肢も以前に増して有力となってくるかと思われますので、タックス・プランニングの際には、十分にお気を付けください。
それから、中小法人等の軽減税率の適用を目的とする会社分割等による分社化は、分社化による損益通算不能、事務コスト増大というデメリットを十分に考慮した上で慎重に判断する必要がありますことを、私の経験上から、あえて申し添えさせていただきます。
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