会計事務所の風物詩、いよいよ今年も所得税確定申告のシーズンが到来No.8。川手今朝人 (編) 「譲渡所得の実務と申告〈平成21年版〉」

  いよいよ残りわずかとなった、平成20年分の所得税の確定申告。

　毎年継続的に発生する事業所得、不動産所得、給与所得等と異なり、臨時的かつ偶発的な所得である譲渡所得は、一般の方が自分で申告するには骨が折れ、我々プロの出番であるとともに、大きなリスクを伴うおそれもある「専門領域」。

　十分な調査と慎重さが要求される譲渡所得の申告の参考書として欠かせないのが、大蔵財務協会発行の、川手今朝人 (編) 「譲渡所得の実務と申告〈平成21年版〉」です。

■期限内に確定申告をしないと受けられない譲渡所得の特例にご注意

・居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例（3,000万円の特別控除等）

・収用交換等の場合の譲渡所得等の課税の特例（5,000万円の特別控除等）

・上場株式等を譲渡した場合の特例（譲渡損失の3年間の繰越控除）

等の期限内に確定申告をしないと受けられない譲渡所得の特例がありますので注意が必要です。

■他の所得との損益通算及び繰越控除が可能な居住用土地建物等の譲渡損失の特例にご注意

　所有期間5年超の居住用の土地建物等で、新たな居住用の土地建物等に買い換える一定の場合や、住宅ローンが残っている一定の場合には、現在でも土地建物等の譲渡損失が他の所得との損益通算及び繰越控除が可能ですので十分にご注意ください。

　新たな居住用の土地建物等に買い換える一定の場合は、買換資産の取得が次年度でも適用が受けられるケースがあります。

　仮に希望の買換資産が決まっておらず一時的に賃貸住宅に入居されていても、他の所得との損益通算及び繰越控除を申告された方が有利なことがありますので、特にご注意ください。

　確定申告も、残りわずか、プロの技を光らせたいものです。