実感だけではなく数字からも裏付けられる法人の法的整理の増加。「法人自己破産1万件突破 昨年申し立て 85年以降で最多」(2009年1月10日付日本経済新聞より)
2009年1月10日付日本経済新聞によると、2008年に法人が裁判所に申し立てた自己破産件数が10,629件と07年に比べて約1,600件増え、1985年以降で最多となったことが、9日、最高裁のまとめた速報値で分かったとのこと。
会社更生手続や主に法人対象の通常再生の民事再生手続の申し立ても対前年で大幅に増加したようです。
■2008年の法人の自己破産
10,629件(対前年+1,600件、+17.7%増)
3年連続の増加で、申し立ては01年以降は7,000~8,000件台、07年は8,997件でしたが、08年は秋以降の急速な景気悪化もあり、1万件を突破したとのことです。
■2008年の会社更生手続の申し立て
34件(対前年+15件、+78.9%増)
2001年以降は40~80件台を推移し、2006、2007年はそれぞれ14、19件と大幅に減少していたが、再び増加傾向に転じたとのこと。
■2008年の主に法人対象の通常再生の民事再生手続の申し立て
859件(対前年+205件、+31.3%増)
■上記からわかること
私は、民事再生手続のお手伝いをさせていただくことが多いこともあり、日頃から実感してはいましたが、数字からも法人の法的整理の増加が裏付けられました。
特に会社更生法の増加は、大企業でも決して安泰ではない現在の厳しい経済環境を反映するものと言えます。
特に、株式会社クリードや日本綜合地所株式会社の申し立てで話題の「DIP型」会社更正手続の申し立ては今後増加しそうです。
リーマン・ショック以降の世界金融危機下の負の連鎖、与信管理には注意したいものです。
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