やはり「環境」が景気回復の切り札でしょうか?「『環境』で景気浮揚狙う グリーン・ニューディール 主要国が構想」(2009年1月9日付日本経済新聞より)
本日(2009年1月9日)の日本経済新聞3面に、「『環境』で景気浮揚狙う グリーン・ニューディール 主要国が構想」との見出しで、主要国のいわゆる「グリーン・ニューディール政策」の取り組み状況についての記事。
前回の村上龍氏の分析でも、信用・信頼収縮の悪循環を断ち切るには「環境」の再構築が有効との指摘がありましたが、やはり「環境」が景気回復の切り札でしょうか?
■「グリーン・ニューディール政策」
日本経済新聞の記事によると、米国のルーズベルト大統領が1929年に始まった世界恐慌を克服するために実施した「ニューディール政策」にならい、地球温暖化対策という中長期的な課題と目先の景気浮揚策の両方を目指し、環境やエネルギー分野に重点的投資する大型景気対策を、「グリーン・ニューディール政策」といわれるとのこと。
■米国
「グリーン・ニューディール政策」の口火を切ったのが、米国のオバマ次期大統領で、太陽光や風力など再生可能エネルギーに今後10年で1500億ドルを投資し、500万人の雇用創出を見込むとのこと。
■ドイツ
現在25万人の雇用の再生エネルギー関連産業を2020年に自動車産業並みにするとのこと。
■英国
2020年までに1,000億ドルを投資し風力発電7,000基を建設し、16万人の雇用創出を見込むとのこと。
■フランス
環境分野の雇用創出計画を盛り込んだ法律を制定し、50万人の雇用創出を見込むとのこと。
■中国
景気対策として2010年までに約53兆円を投資し、環境・エネルギー分野に重点的に配分するとのこと。
■韓国
エコカーの普及や太陽熱といった再生可能なエネルぎー開発などに2012年までに約3兆5,000億円を投資するとのこと。
■日本
環境省が「日本版グリーン・ニューディール構想」(仮称)の策定に着手し、5年後の環境ビジネス市場を少なくとも2006年の70兆円から4割増の100兆円以上に育て、関連雇用を2006年の140万人から6割増の220万人以上とするとのこと。
ただし、2008年度第二次補正予算案はもちらん2009年度予算への盛り込みが間に合わないというスピードの問題、予算規模と財源の確保の問題、既存の対策との重複の問題など、課題は山積みとのこと。
■上記の記事から感じること
今回の世界金融危機の元凶である米国や、金融大国ともいうべき英国が、「環境」分野で戦略的な政策をスピーディーに進めているのに舌を巻きます。
日本はというと、「官邸の動き鈍く」と小見出しにされてしまっているように、「定額給付金」が政策の切り札というような印象もあり、「環境」分野で戦略的な政策という意味では心もとない印象がいたします。
「環境」関係の技術では一歩先んじているはずの日本ですが、競争に乗り遅れないよう迅速な対応を期待したいところです。
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