若きルパート・ホルムス(Rupert Holmes)が1曲づつていねいに創り上げた「まるで映画のようなレコード」が紙ジャケ・最新リマスターで再発。「ワイドスクリーン(Widescreen)」(M)
1947年イギリスNorthwich生まれのルパート・ホルムス(Rupert Holmes)は、1979年の全米No.1ヒット「エスケイプ(Escape(The Piña Colada Song)」、1980年の全米6位のヒット「ヒム(Him)」で知られるシンガー・ソング・ライターにして、「AOR」の代名詞のような存在。
そんなルパート・ホルムス(Rupert Holmes)が、ブレーク前にEPICに残した初期3作が、紙ジャケ・最新リマスターで本年8月に再発。
中でも、1stアルバム「ワイドスクリーン(Widescreen)」(1974年)は、後年の「AOR」の代名詞的アダルトな魅力とは一味違う、若気の至り的オタクな魅力が光る、何度聴いても聴きあきない大傑作です。
本作の中田利樹氏によるライナー・ノーツによると、ルパート・ホルムス(Rupert Holmes)と、プロデューサーでエンジニアのジェフリー・レッサー(Jeffrey Lesser)が、「まるで映画のようなレコード、それを作れたらさぞかしエキサイティングだろうね」と話したことが「ワイドスクリーン(Widescreen)」の誕生のきっかけとのこと。
レコーディングには10ヶ月をかけ、それぞれの曲のシナリオに合わせ、ミュージシャンも曲ごとに考え、1曲ずつ創作して行ったとのこと(余談ですが、アシスタント・エンジニアのクレジットの中に、ボブ・クリアマウンテン(Bob Clearmountain)の名前を発見)。
そういった経緯からなのか、後年の「エスケイプ(Escape(The Piña Colada Song)」や「ヒム(Him)」のあたりの完成された「AOR」の代名詞的アダルトな魅力とは一味違う、若気の至り的オタクな魅力が光るのが、「ワイドスクリーン(Widescreen)」。
不思議感漂うコード進行や展開の曲が多く、AORというよりも、ブライアン・ウィルソン(Bryan Wilson)やトッド・ラングレン(Todd Rundgren)等の構築的なポップ・ミュージックに近い印象。
「ワイドスクリーン(Widescreen)」の勢いを借りて、プロデューサー:ジェフリー・レッサー(Jeffrey Lesser)、アシスタント・プロデューサー:ルパート・ホルムス(Rupert Holmes)の「ワイドスクリーン・プロダクション(Widescreen Production)」名義で関与した大傑作が、セイラー(Sailor)「トラブル(Trouble)」(1975年)。
私の中学時代の愛聴盤で、特にNHKFMからエア・チェックしたセイラー(Sailor)のBBCライヴのカセット・テープは素晴らしい演奏で当時の私の宝物でした。
You Tube上の全英7位のヒット、セイラー(Sailor)「ガールズ・ガールズ・ガールズ(Girls,Grils,Grils)」のライヴ映像。
http://jp.youtube.com/watch?v=UPGiLsdWZdo
You Tube上の全英2位のヒット、セイラー(Sailor)「二人のシャンペン・グラス(Glass Of Champagne)」のライヴ映像。
http://jp.youtube.com/watch?v=FeISAc9j0WE
ルパート・ホルムス(Rupert Holmes)のEPICからの2ndアルバム「ルパート・ホルムス(Rupert Holmes)」(1975年)も、今回、紙ジャケ・最新リマスターで再発ですが、こちらはオリジナルLPの形では初のCD化とのこと。
ブレーク前のEPIC期のルパート・ホルムス(Rupert Holmes)に共通するのが、不思議感漂うコード進行や展開の曲作りに凝った構築的なポップ・ミュージックで、時とともに薄れて行く印象。
私が好きなのは、7曲目「スタジオ・ミュージシャン(Studio Musician)」で、同じくドラマティックな名曲、ムーン・ライダーズ(Moon Riders)の同名の曲(1978年)は影響を受けているのかもしれません。
EPICからの3rdアルバム「シングルズ(Singles)」(1976年) も、オリジナルLPの形では初のCD化とのこと。
構築的なポップ・ミュージック的要素が薄れてきて、かなりAOR感漂う印象。
私が好きなのは、6曲目「ザ・ラスト・オブ・ザ・ロマンティックス」で、「ワイドスクリーン(Widescreen)」的な曲。
ルパート・ホルムス(Rupert Holmes)「ワイドスクリーン(Widescreen)」、とにかく良い曲ばかりですので、AORファンから構築的なポップ・ミュージックのマニアまで、万人にお勧めできるアルバムです。
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