「平成の経営の神様」による中小企業の「人の問題」の解決のバイブル。稲盛和夫「実学・経営問答 人を生かす」
昨日の日本経済新聞によると、大手監査法人(新日本、トーマツ、あずさ、あらた)の2008年の新人の採用数が5年ぶりに減少するのが確実になったとのこと。
内部統制報告制度や四半期決算の導入による作業負担増加に備えた積極採用が一段落し、4法人の合計の新人採用者数は最高だった昨年に比べて16%減るとのこと。
経済界全体の動きに歩調を合わせるように、最近の会計事務所業界の空前の人手不足、人材の売り手市場はようやく反転の兆しが見え始めましたが、我が事務所も含め「人の問題」が、中小企業経営で一番重要で難しい問題。
そんな中小企業の「人の問題」の解決に役に立ってくれるのが、平成の経営の神様による経営指南書、稲盛和夫「実学・経営問答 人を生かす」(2008年7月)です。
稲盛和夫は、1932年鹿児島県生まれの、京セラ株式会社・第二電電株式会社(現KDDI株式会社)の創業者。
1894年生まれの松下電気産業株式会社(現パナソニック株式会社)創業者、松下幸之助を「昭和の経営の神様」とするならば、「平成の経営の神様」ともいうべき人物。
自らの実体験に基づき、自らの言葉で語られる、いつになっても中小企業の心を忘れない経営術は、我々中小企業の経営者にとって大変参考になります。
特に、稲盛和夫「稲盛和夫の実学―経営と会計」(1998年)は、世の経営者が「会計の原則」を正しく理解していたならば当時のバブル経済とその後の不況もこれほどにはならなかったのではと、「会計がわからんで経営ができるか」と思いで出版したという、経営者目線の会計本のバイブル的存在。
世界金融危機に見舞われた現在、「稲盛和夫の実学―経営と会計」の、「キャッシュ・ベース経営の原則」、「一対一対応の原則」、「筋肉質経営の原則」等の実戦的基本原則はますます重要性が増しているのではないでしょうか?
一方、稲盛和夫「稲盛和夫の経営塾―Q&A高収益企業のつくり方」(2005年)は、稲盛和夫の経営者勉強会「盛和会」での具体的な経営問答を書籍化した、経営者目線の経営改善本のバイブル的存在。
「自社の拡大、強みづくりのための投資は正しいか」、「トップとして何を優先課題としに取り組むべきか」、「小売業の拡大出店政策はこのままでよいか」、「老朽設備の大規模修繕のタイミングは」、「業績が落ち込んだ場合、給与体系をいかに見直すべきか」、「目標管理による年棒制の問題にどう対処すべきか」等、具体的な経営者の悩みに対する処方箋が満載。
そして、稲盛和夫「実学・経営問答 人を生かす」(2008年7月)は、「稲盛和夫の実学―経営と会計」(1998年)、「稲盛和夫の経営塾―Q&A高収益企業のつくり方」(2005年)と合わせて、稲盛経営3部作ともいうべき、経営者目線の「人の問題」解決のためのバイブル的存在といってよい素晴らしい出来。
内容については、私にとっても生々しい問題ばかりなのであえて触れませんが、中小企業の経営者の方なら、ぜひ書店で手に取っていただき一読していただきたいと思います。
| 固定リンク
« 小泉今日子の「アラフォー」ではなく「ナイス・ミドル」な歌心。小泉今日子「Nice Middle」(M) | トップページ | 若きルパート・ホルムス(Rupert Holmes)が1曲づつていねいに創り上げた「まるで映画のようなレコード」が紙ジャケ・最新リマスターで再発。「ワイドスクリーン(Widescreen)」(M) »
「開業・中小企業経営等」カテゴリの記事
- 元旦日本経済新聞一面。「資本主義、創り直す 競争→再挑戦→成長の好循環 解は「フレキシキュリティー」」(2022.01.01)
- 元旦日本経済新聞第二部。「AI経営してますか」(2019.01.01)
- 元旦日本経済新聞1面。「パンゲアの扉 つながる世界 溶けゆく境界 もう戻れない デジタルの翼、個を放つ 混迷の先描けるか」(2018.01.01)
- 元旦日本経済新聞1面。「断絶(Disruption)を超えて 「当たり前」 もうない 逆境を成長の起点に」(2017.01.01)
- 元旦日本経済新聞1面。「アジアひと未来(1)目覚める40億人の力 インド俊英、続々頂点に」(2016.01.01)
コメント