細野ファミリーの大番頭、鈴木惣一朗のアーティストとしての最高傑作だと思います。ワールドスタンダード(World Standard)「花音(Canon)」(M)
鈴木惣一朗は、1959年生まれ、静岡県出身の音楽家で、自身のユニット、ワールドスタンダード(World Standard)、エブリシング・プレイ(Everything Play)での活動、ハナレグミ、イノトモ等のプロデューサー、映画音楽家、そして細野ファミリーの大番頭として特に還暦を過ぎてからの細野晴臣の大活躍を支える人物として知られる実力派。
私が、鈴木惣一朗の存在を知ったのは、実はかなり古い。私のバンドが1984年にとあるカセット・マガジンに参加した際に、同じく参加していたのがメジャー・デビュー前の鈴木惣一朗率いるワールドスタンダード(World Standard)で、その頃から癒し系インストのすごく気持ちのいいサウンドで、以来、常に気になる存在。
その後、アーティストとして、エブリシング・プレイ(Everything Play)「ポッシュ(POSH)」(1991年)、ワールドスタンダード(World Standard)のディスカヴァー・アメリカ3部作、「カントリー・ガジェット(Country Gazette)」(1997年)、「マウンテン・バラッド(MOUNTAIN BALLAD)」(1999年)、「ジャンプ・フォー・ジョイ(JUMP FOR JOY)」(2002年)など傑作と呼ばれるアルバムを数多く生みだしますが、実は今までで私が最も気に入っていたのは、以前に当ブログでご紹介した、プロデューサーとしての仕事の「りんごの子守歌」シリーズ。
プロデューサー、映画音楽家等として成長を続ける鈴木惣一朗が、アーティストとして久しぶりに発売した「花音(Canon)」、ようやく完成したといっては大変失礼ですが、私にとっては、アーティスト、鈴木惣一朗としての最高傑作だと思います。
ワールドスタンダード/鈴木惣一朗オフィシャル・サイトのブログの制作ノートによると、「ライフ・イズ・ビューティフル」「息子の部屋」「灯台守の恋」のニコラ・ピオヴァーニ(Nicola Piovani)の映画音楽の郷愁感に影響を受けたらしいですが、その郷愁感が従来の作品よりも私の心を締め付けるようです。
「りんごの子守歌」シリーズと同じ、100%ORANGEの素晴らしいイラストのジャケットも音とマッチしています。
ところで、「花音(Canon)」を聴くのと同じ快感を味わえるのが、細野晴臣と鈴木惣一朗の対談「細野晴臣 分福茶釜」(2008年6月)。
本書の帯がその魅力を十分に伝えていますので引用させていただきます。
「本当のことは静かに聞こえる 世間のこと、世界のこと、老いること、祈ること、そしてよりよく生きること-。還暦を迎えた音楽家・細野晴臣が、20年来の仲間・鈴木惣一朗を聴き手に、大事なことを”小声”で語った人生問答。とかく悩ましいこのご時世を生き抜くための「福」を「分」けてくれる80講。」
素敵に年をとって行く、細野晴臣と鈴木惣一朗の名コンビ、これからも素晴らしい音楽を届けてくれることを期待します。
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コメント
今回の編成はペンギンカフェを継承しているようにも思えますが、本家よりも柔らかく温かい感じなのは、細野ファミリーのお人柄でしょうか。
細野の旦那に可愛がられる大番頭・鈴木惣一朗。比べるのも変ですが、何か小西康陽と好対照ですね、いろんな面で。
投稿: MYB | 2008年11月16日 (日) 03時07分
MYBさん、コメントありがとうございます。
「本家よりも柔らかく温かい感じ」、同感です。
小西康陽、
最近元気がないのが(1990年代のハイ・テンションと比較してですが)、
ファン・クラブ「ピチカート・マニア」元会員としては心配です。
投稿: Accounting&Music | 2008年11月19日 (水) 02時34分
ここの記事を見て購入しました。
骨の髄まで音が染み渡ります。
自然と涙が溢れてきます。
本当に彼の最高傑作です。
投稿: 妾番長 | 2008年12月13日 (土) 10時37分
妾番長さん、コメントありがとうございます。
「骨の髄まで音が染み渡ります。」
同感です。
このような境地に到達した鈴木惣一朗、心より讃辞を送りたいと思います。
投稿: Accounting&Music | 2008年12月13日 (土) 23時57分