中田ヤスタカと同じく「松坂世代」、細野ファミリーの若頭、SAKEROCK(サケロック)による痛快な新作。「ホニャララ」(M)
SAKEROCK(サケロック)のバンド名は、マーティン・デニー(Martin Denny)の「クワイエット・ヴィレッジ(Quiet Village)」(1959年)収録曲「サケロック(SAKEROCK)」から命名。
マーティン・デニー(Martin Denny)は、1911年生まれのハワイを中心に活動したアメリカの作曲家で、YMO結成時の細野晴臣に大きな影響を与えた、無国籍なエキゾティック・サウンドで有名。
マーティン・デニー(Martin Denny)的無国籍風味のエキゾティシズム+クレイジー・キャッツ的昭和風味のユーモアが、SAKEROCK(サケロック)の持ち味。
一見すると、遊び半分にも見えたりするSAKEROCK(サケロック)ですが、着実に充実作を連発。
高田蓮、ASA-CHANGとのユニット「サケロックオールスターズ」名義ではありますが、ヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)「ディスカヴァー・アメリカ(Discover America)」(1972年)へのオマージュあふれるジャケットにニヤリとさせられる、「トロピカル道中」(2006年8月)。
SAKEROCK(サケロック)はカヴァー曲のセンスが良く、このアルバムでは、Aska「はじまりはいつも雨」、細野晴臣「PomPom蒸気」のカヴァーが秀逸。
SAKEROCK(サケロック)の前作、「songs of instrumental」(2006年11月8日) 。
糸井重里による任天堂のゲームソフト「MOTHER」(1989年)のテーマ曲、鈴木慶一、田中宏和作曲の名曲「エイト・メロディーズ(EIGHT MELODIES)」、クレイジー・キャッツ「スーダラ節」のカヴァーが秀逸。
You Tube上の「エイト・メロディーズ(EIGHT MELODIES)」のライヴの映像。
http://jp.youtube.com/watch?v=CuacLGHoGgk
ハマケンこと、浜野謙太のルーズなトロンボーンが、メロディーに実にマッチ。
「ホニャララ」では、坂本龍一の名曲「千のナイフ(Thousand Knives)」(1978年)と、ナムコのゲームソフト「妖怪道中記」(1987年)のテーマ曲、川田宏行作曲「妖怪道中記」の合体曲「千のナイフと妖怪道中記」にうならされます。
しかし、「ホニャララ」で素晴らしいのは、何と言っても先行シングルだった「会社員と今の私」(2008年8月)にも収録の1曲目「会社員」。
You Tube上の「会社員」と「今の私」が2曲カップリングされた「会社員と今の私」のプロモーション・ビデオ。
http://jp.youtube.com/watch?v=RBXM4f6xW8M
SAKEROCK(サケロック)の隠れた大きな魅力であるドラムの伊藤大地の小気味いいビートに絡む、星野源のマリンバの気持ちいいこと。
「ホニャララ」付属のブックレットで、細野晴臣が対談で星野源に、「マリンバすごく上手いよね。どうしちゃったの?異常に上手いよ。」と聞いたら、「速く動かすのが好きなんですよ。」「練習をすごくしたわけじゃないんですけど、部屋の中にドンと置いて、その上でソバ食ったり、そういう生活をしてたんで、それがよかったのかもしれないです(笑)。」との答で爆笑。
音楽への取り組み方が自然体であるにもかかわらず着実に結果を生み出すところが、中田ヤスタカなどにも通ずる音楽界の「松坂世代」の共通点でしょうか。
SAKEROCK(サケロック)の「ホニャララ」、細野晴臣やヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)がお好きな方は特にそうですが、「お遊び」という先入観を持たずにぜひ聴いていただきたいアルバムです。
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