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株価の急落は確定拠出年金(DC)移行の好機。山崎元氏「マネー経済の歩き方No.277 企業年金をどう始末したらいいか」(週刊 ダイヤモンド 2008年 11/15号より)

H201120_2008_1115  先週の週刊 ダイヤモンド 2008年 11/15号は、「金融不動産 発火寸前!」との表紙で、思わず購入。

 表紙同様に、気が滅入るような恐怖感をあおる記事のオン・ パレードですが、その中で前向きな提案として注目したいのが、山崎元氏「マネー経済の歩き方No.277 企業年金をどう始末したらいいか」の提案。

 山崎元氏によると、株価の急落は確定拠出年金(DC)移行の好機とのことです。

■株価の急落による企業年金へのダメージ

 山崎元氏によると、10月25日の日本経済新聞夕刊の記事によると日経平均が8,000円、ドル円の為替レートが95円で2009年3月末を迎えた場合、企業年金の運用利回りはマイナス20%になるという試算があるとし、この試算は十分現実的なものとのこと。

 そして、日本の会計基準では、年金資産と引当金の合計額が年金債務を下回ると、その差額を数年に分けて費用認識するが、株主や投資家一般は、会計基準にかかわらず、企業の株主価値は年金資産が減価すると同時に減少したと認識するし、そもそもそれが「実態」とのこと。

■確定給付年金(DB)の問題点と税制上のメリット

 企業が、本業でない年金資産運用でリスクを取り、大きな損得を発生させることは、とても「まとも」だとは思えず、将来の給付を確定させて資産運用リスクを企業が負う従来の確定給付年金(DB)の企業年金を維持することは、企業にとって「無理だ」と決めつけぬまでも「不自然」で、それでも存続している理由は税制上のメリットのためだとのこと。

■確定拠出年金(DC)への移行

 そこで、山崎元氏は、税制上のメリットを利用し、企業が運用リスクを取らずにすむようにするためには、確定給付年金(DB)の企業年金を解散し、確定拠出年金(DC)への移行する方法があり、株主にとっても企業年金を通じて、他の企業の株式や各種金融商品へ投資させられることは好都合ではないと指摘。

 そして、株価が下がっている時に確定拠出年金(DC)をスタートする方が、従業員にとっては長い目で見ると気分がいいはずであり、企業側は損が出ている時に企業年金の解散を行うことになり大変かもしれないが、確定給付年金(DB)とは早く縁を切るのが多くの点で合理的であり、厚生労働省はせっかくの機会なので要望してほしいとのこと。

■上記から感じること

 企業が、本業でない年金資産運用でリスクを取り、大きな損得を発生させることは、とても「まとも」だとは思えないという意見、賛成です。

 マーケットの大変動を前にしても冷静さを失わぬ山崎元氏の、株価の急落は確定拠出年金(DC)移行の好機との提言、拝聴に値します。

 なお、以前に当ブログでもご紹介したとおり、中小企業の退職金準備は、確定拠出年金(DC)の1種である、中小企業退職金共済(中退共)をまずは検討するのがよろしいかと思われますことを付け加えさせていただきます。

 従業員自身が自分で運用する必要がなく、原則60歳になってからでないと支給されない通常の確定拠出年金(日本版401K)と異なり中途退職時にも支給され「手切れ金」的性格も持つ、中小企業退職金共済(中退共)の方が、利用できるのであれば中小企業によりなじむと思われるからです。

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