エスカレート気味の景気テコ入れ策。「住宅ローン減税、控除上限「600万円」軸に 期間10年が有力」(2008年10月29日付日本経済新聞より)
今日の日本経済新聞の1面は、「住宅ローン減税、控除上限「600万円」軸に 期間10年が有力」との見出しの記事。
同記事によると、政府・与党は2009年度の税制改正で、住宅を取得した人が住宅ローン減税で所得税額の控除を受けられる上限をいまの160万円から、過去最高の600万円に引き上げるなど制度を大幅に拡充する検討に入ったとのこと。
購入時の負担を軽減して住宅取得を促し、世界経済の減速に伴って悪化する景気にテコ入れするのが狙いで、月内にまとめる追加経済対策に制度拡充の方向性を盛り込み、年末の税制改正論議で詳細を決めるとのこと。
麻生太郎首相が23日に追加対策の一環として住宅ローン減税を過去最高まで引き上げるよう指示したのを受け、国土交通省と財務省が協議に入り、8月の税制改正要望で300万円としていた控除額の要望を大幅に上方修正する形になるとのこと。
景気テコ入れ策ですが、なんだか、エスカレート気味になってきたようです。
■現行の住宅ローン減税
平成20年入居の場合、借入金2,000万円限度で、①控除期間10年で、控除率が1年目から6年目まで1.0%、7年目から10年目まで0.5%の従来型と、②控除期間15年で、控除率が1年目から10年目まで0.6%、11年目から15年目まで0.4%の新型のいずれかが選択できます。
全期間合計の減税額は、最大で160万円です。
■過去最大の住宅ローン減税
平成11年から平成13年までに入居の場合、借入金5,000万円限度で、控除期間15年で、控除率が1年目から6年目まで1.0%、7年目から11年目まで0.75%、12年目から15年目まで0.5%でした。
全期間合計の減税額は、最大で587.5万円でした。
■上記の記事から感じること。
政府・与党は、借入金6,000万円限度で、控除期間10年、控除率1.0%、全期間合計の減税額最大600万円を検討している模様です。
もし、そのような改正が実現しても、債務の履行可能性の点で、借り過ぎには注意が必要ですし、政府・与党は、個人住民税からも控除できる制度の導入を検討するようですが、原則として所得税のみで個人住民税からは差し引けないため、控除不能となる可能性にも留意する必要があります。
また、景気テコ入れ策ですが、選挙対策の狙いが見え隠れし、なんだか、エスカレート気味になってきたような感じもいたします。
サブプライム・ローン問題に端を発した世界金融危機への対応ですが、ここは冷静になり費用対効果を十分に吟味した政策が打ち出されることを期待したいところです。
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