倒産法史上に残る大事件。リーマン・ブラザーズ・グループの民事再生法申請。
サブプライム・ローン問題により、9月15日に米リーマン・ブラザーズが連邦破産法11条の適用申請、負債総額6,130億ドル(日本円で約64兆5000億円)は米国史上最大の倒産事件とのこと。
そして、9月16日には、リーマン・ブラザーズの日本法人各社も民事再生法申請。
帝国データバンクによると、中でもリーマン・ブラザーズ証券株式会社(負債総額2008年8月末で約3兆4,314億円)は、協栄生命保険株式会社(負債総額4兆5,297億円、2000年10月更生特例法)に次いで、戦後2番目の大型倒産とのこと。
協栄生命保険については、管財人の奥野善彦弁護士が、自著「会社再建―史上最大の巨大倒産管財人の記録 」でその苦闘の記録を明らかにしていますが、リーマン・ブラザーズについても、高度化したファイナンス技術等を考慮すると、それに匹敵する関係者の大変な苦労が予想されます。
■民事再生法を申請したリーマン・ブラザーズの日本法人
帝国データバンクによると、リーマン・ブラザーズ証券株式会社の他にも
・持ち株会社のリーマン・ブラザーズ・ホールディングス株式会社(負債総額2007年11月末で約5,159億7,300万円)
・サービサーのサンライズファイナンス株式会社(負債総額2008年5月末で約3,639億5,300万円)
・不動産担保融資のリーマン・ブラザーズ・コマーシャル・モーゲージ株式会社(負債総額2008年5月末で約3,844億5,800万円)
が民事再生法を申請したようです。
■リーマン・ブラザーズの破綻から感じること
ライブドアのMSCB(転換価格の修正条項付き転換社債型新株予約権付社債)800億円の引受けとか、丸紅偽造文書問題での約400億円(その内約350億円が未回収)の投資とか、リーマン・ブラザーズはずいぶんと大胆なリスクのとり方をするなと以前より驚いていましたが、やっぱりという感じがいたします。
おそらく、全世界的にそのような企業風土だったのではないかと想像できます。
日本の民事再生手続の監督委員には、倒産手続に精通された多比羅誠弁護士が選任されたようであり、申立会社、申立代理人弁護団も含めて、大変な苦労が待ち構えているかと思われますが、迅速かつ的確な再生手続の進行を期待したいところです。
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