民事再生法関与者の必携本の現行法に対応した待望の第2版。須藤英章弁護士監修「民事再生QA500【第2版】」
当ブログでもご紹介のように、原料高等により急増する民事再生法等の倒産事件。
そのような現状に呼応するかのように、会社法施行やそれに伴う民事再生法の改正への対応が遅れていた便利本「民事再生QA500」(2003年12月)の改訂版、須藤英章弁護士監修「民事再生QA500【第2版】」(2008年7月)がようやく発売に。
須藤英章弁護士による「監修のことば」で触れられている、「QA500には何でも書いてある。」、「実務で疑問が出ると先ずQA500を探す」と言う本書の評価には、私も全面的に同意させていただく、民事再生法関与者の必携本です。
いわゆる「お台場アプローチ」の提唱者として知られ、公認会計士二次試験合格者でもある須藤英章弁護士の、豊富な経験に基づく倒産法関連の書籍は、実務に使いやすいようによく練られているのが特徴。
須藤英章弁護士編著「再生・更生・破産の比較でみる倒産実務ハンドブック」(2005年)も、破産・民事再生法・会社更生の3法を併行して解説し、3つの手続きの違いを分かりやすく浮き彫りにして解説したユニークなとても使いやすい傑作本で、こちらも私も実務で愛用。
ただ、「民事再生QA500【第2版】」の残念なところは、執筆者に公認会計士や税理士の会計・税務の専門家がいないことで、会計・税務の記述の詳細さがやや不足しているところ。
その点については、必要に応じて、例えば民事再生法の税務について正確に確認したい場合は、稲見誠一税理士、佐藤信祐公認会計士・税理士「ケース別にわかる企業再生の税務―会社更生法・民事再生法・私的整理」などで補強をしたいところです。
とはいえ、「民事再生QA500【第2版】」は、民事再生法関与者は、まずは手許に置いておくべき必携本だと思われます。
特に、民事再生手続に不慣れな申立会社の方々は、ぜひ手許に置き、何か行動を起こす前に問題が生じえないか必ず確認していただくことが、円滑な手続の成功につながると思います。
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