やはり来ました住宅ローン控除(住宅ローン減税)の平成21年(2009年)以降の延長。「省エネ・200年住宅・2世帯向けにローン減税新設 国交省方針」(2008年8月16日付日本経済新聞より)
今日(2008年8月16日)の日本経済新聞第1面によると、国土交通省は、2009年度の税制改正で財務省に住宅ローン控除(住宅ローン減税)の拡充を要望する方針を固めたとのこと。
購入にあたっての消費者の負担を軽減し、冷え込む住宅市場をてこ入れする狙いで、
・断熱材が厚いなど省エネ性能の高い住宅や長期間住める優良な「200年住宅」
・2世帯住宅
を対象とする優遇措置を新設し、所得税における住宅ローン控除の対象となる借入限度額を現行の一般住宅向けの2000万円より広げるのが柱とのこと。
ここで、この記事で見逃してはならないのが、今年(2008年)で期限切れとなる現行の住宅ローン控除の平成21年度(2009年度)の税制改正での5年間延長も国土交通省が要望する方針を固めたこと。
同記事では、そのことはもはや当たり前かのように見出し部分では一言も触れていませんが(本文では当然触れていますが)、当然そう来るとは思っていましたが大きなニュースではないでしょうか。
■現行の住宅ローン控除(住宅ローン減税)
住宅ローン控除とは、住宅を新築・購入・増改築等をして住宅ローンを利用した人に対して、毎年の年末時点の残高の一定割合を所得税から控除する制度。
制度は、毎年異なるので注意が必要ですが、平成20年に入居の場合は、対象となる住宅ローン残高2,000万円を上限に、
・控除期間10年:1年目から6年目まで1.0%、7年目から10年目まで0.5%
・控除期間15年:1年目から10年目まで0.6%、11年目から15年目まで0.4%
の選択適用で、適用を受ける年分の所得3,000万円以下、住宅ローンの期間10年以上、登記簿上の床面積50㎡以上等の適用条件を満たすことも必要。
■国土交通省の要望方針
日本経済新聞によると、現行の住宅ローン控除の5年間延長、「200年住宅」や2世帯住宅を対象とする制度新設と限度額拡大、さらには、現行制度自体の限度額拡大、所得税から控除できない場合の住民税からの控除の導入、「200年住宅」や2世帯住宅を住宅ローンを使わないで取得等した場合の税額控除等も要望する方針らしい。
■住宅ローン控除の延長・拡大の要望方針から感じること
・延長・拡大の要望方針について
前回の記事でアーバンコーポレイションの倒産について触れましたが、不動産市場とりわけ住宅市場の冷え込みは厳しいものがあり、国土交通省の要望方針は当然予想されたものといえます。
また、住宅ローン控除は、租税特別措置法による優遇措置とは言え、長年慣行として定着しており、それを期限切れとすることは納税者の予測可能性や平等の観点から好ましくないようにも思われます(住宅ローンを利用しない人との平等の問題はありますが)。
・マンション等の青田買いの方はご注意!
昨年から今年にかけて、平成21年入居のマンション等の青田買いをされた方は、住宅ローン控除が期限切れとなる前提で、住宅ローン等の資金計画を立ててらっしゃる方が多いかと思われますので、住宅ローン控除の延長になった場合を前提とした見直しをするようご注意ください。
具体的には、夫単独名義の住宅ローンから、夫婦各単独名義の住宅ローンあるいは夫婦連帯債務の住宅ローンの検討等です。
夫婦各単独名義の住宅ローンあるいは夫婦連帯債務の住宅ローンの場合は、住宅ローン控除の限度額が2倍になり有利となる場合がありえます。
・住宅ローンの検討は慎重かつ合理的に!
個人としては、生命保険加入と並んで人生で最も大きな経済行為である、住宅ローンですが、言われるままに簡単に意思決定している例を多く見かけますので、ぜひ慎重かつ合理的な判断をしていただきたいと思います。
具体的には、ローンの名義は夫単独か夫婦各単独か夫婦連帯債務か、金利は固定か変動か、返済方法は元本均等か元利均等か等です。
なかでも、返済方法については、比較をせずに言われるままに元利均等を選択している例を多く見かけますが、元本均等にすることにより多額の利息が軽減されることが知られていないことは大変残念に思います。
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