非上場株式の価格算定方法の明確化への意見。八ッ尾順一公認会計士「時価課税の規定と事例研究」
当ブログでも続けてご紹介しているように、中小企業庁は、非上場株式の価格算定の指針を、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本弁護士連合会の代表らでつくる中小企業庁長官の私的研究会「非上場株式の評価のあり方に関する委員会」がまとめる形で、年内にも作成するとのこと。
八ッ尾順一公認会計士も、実務上相当苦慮されているのか、著書「時価課税の規定と事例研究」(2003年)の中で、少数株主等からの買取請求等(非訴事件等)での非上場株式の価格算定方法の明確化につき、面白い意見を述べておられます。
「時価課税の規定と事例研究」は、本来は時価課税についての書籍であるため、株式評価についての意見が掲載されていることに通常気が付きにくいと思われますので、今回、ご紹介させていただきます。
■少数株主等からの買取請求等(非訴事件等)での非上場株式の価格算定方法
八ッ尾順一公認会計士は、裁判所において引用されている「株式鑑定評価方式」を整理すると、純資産方式、収益方式、配当方式、比準方式、併用方式があるとし、各方式について説明しています。
そして、過去の判例においては、併用方式が採られていることが多いが、各評価方式のウェートづけについては、ほとんどの決定理由に明確な説明がなされておらず、消化不良の感がし納得できないとします。
■八ッ尾順一公認会計士の意見
そこで、八ッ尾順一公認会計士は、各評価方式のウェートづけが説明できないのならば単純加重平均にするか、ウェートづけから恣意性を排除するため下記のような株式所有割合をベースとした方法が考えられるとします。
・前提
配当還元方式=1株1,000円
純資産価額方式=1株10,000円
・①のケース(20%所有の株主が譲渡する場合)
10,000円×0.2=2,000円
1,000円×0.8= 800円 ∴株式評価額 2,800円
・②のケース(80%所有の株主が譲渡する場合)
10,000円×0.8=8,000円
1,000円×0.2= 200円 ∴株式評価額 8,200円
すなわち、少数株主=配当還元方式、支配株主=純資産価額方式(又は類似業種比準方式)という前提で株式評価するとしたら、上記のような図を用いて評価を行うと、恣意性がはいらず、客観的に株式評価できるというわけです。
■中小企業庁の非上場株式の価格算定の指針への期待
2008年7月17日付日本経済新聞によると、「業種、資産内容などに応じた具体的な算定方法を「収益還元方式」、「配当還元方式」、「類似業種・企業比較法式」、「純資産価額方式」の4方式を軸に明示」するとのことですので、恣意性がはいりにくい客観的基準が示されることが期待されます。
株式の所有割合の考慮に関しても、八ッ尾順一公認会計士のような考え方も当然踏まえたものになるかと思われます。
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