レ・ネグレス・ヴェルト(Les Negresses Vertes)以来の絶妙なブレンドの異種交配。デヴォーチカ(DeVotchKa )「ア・マッド・アンド・フェイスフル・テリング(A Mad and Faithful Telling )」(M)
映画「リトル・ミスサンシャイン(Little Miss Sunshine)」(2006年)で素晴らしい音楽を披露してくれたデヴォーチカ(DeVotchKa )ですが、当ブログにコメントをいただいているMYBさんのUwatzlla!でもいち早く紹介されていたのが、5月に日本盤も発売された最新作「ア・マッド・アンド・フェイスフル・テリング(A Mad and Faithful Telling )」(2008年)。
最近で言えば、アーケイド・ファイア(Arcade Fire)、ベイルート(Beirut)、ちょっと前ならブレイヴ・コンポ(Brave Combo)、マノ・ネグラ(Mano Negra)など、東欧的要素がミックスされ話題となった音楽はいろいろありますが、なかなかピタリと私の琴線に触れるものはなかなかないという印象が。
ところが、デヴォーチカ(DeVotchKa)のこの絶妙なブレンドの異種交配、レ・ネグレス・ヴェルト(Les Negresses Vertes)以来といっていいほど、ピタリと私の琴線に触れました。
前回にもご紹介しましたが、「ア・マッド・アンド・フェイスフル・テリング(A Mad and Faithful Telling )」の中川五郎氏の日本盤解説が充実していますので、それを参考にデヴォーチカ(DeVotchKa )をご紹介。
デヴォーチカ(DeVotchKa)は、イタリア系のニック・ウラタ(Nick Urata)により1997年に結成された、コロラド州デンバーを拠点とする4人組で、ロック、パンク、フォーク、ルーマニアやギリシャやスロヴァニアのヨーロッパ音楽、ボレロ、マリアッチ等の世界中の音楽をミックスした音楽が特徴。
バンド名は「時計じかけのオレンジ」(A Clockwork Orange)のロシア語と英語のスラングで組み合わされた「ナッドサット言葉」からとられ、「少女」という意味らしい。
最初のアルバムは、「スーパー・メロドラマ(Supermelodrama)」(2000年)で、自分たちのCiceroレーベルから発表。
Amazonで入手できたので、「スーパー・メロドラマ(Supermelodrama)」も聴いてみましたが、驚くべきことはその完成度の高さで、デビュー直後からの実力派ぶりがうかがえます。
2作目は、Ciceroレーベルからの「トリプルXタンゴ(Triple X Tango)」(2002年)で、このアルバムはAmazonで入手不能で、中川五郎氏も未入手のこと。
3作目は、Ciceroレーベルからの「ウナ・ヴォルタ(Una Volta)」(2003年)で、Amazon入手可能。
これまた、高い完成度。
アルバムごとに、だんだん、哀愁味が増している印象。
4作目は、Ciceroレーベルからの「ハウ・イット・エンズ(How It Ends)」(2004年)で、Amazon入手可能。
最新作と同様に、キャレキシコ(Calexico)を手がけたクレイグ・シューマッハー(Craig Schumacher)のミックス。
ジョナサン・デイトン(Jonathan Dayton)&ヴァレリー・ファリス(Valerie Faris)監督は、1曲目「You Love Me」をラジオで聴いて気に入り、映画「リトル・ミスサンシャイン(Little Miss Sunshine)」の音楽を依頼したらしい。
このアルバムは特に完成度が高く、「You Love Me」が象徴的ですが、哀愁味に加えリラックス感がとて良い感じです。
You Tubeにアップされた5曲目「How it Ends」のライヴ。
http://jp.youtube.com/watch?v=FFDBj22ms-k
5作目は、ニューヨークのAce Fu Recordsからの6曲入りミニ・カヴァー・アルバム、「カース・ユア・リトル・ハート(Curse Your Little Heart)」(2006年)で、Amazon入手可能。
フランク&ナンシー・シナトラ(Frank & Nancy Sinatra) 「Somethin' Stupid」、スージー&バンシーズ (Siouxsie & the Banshees) 「The Last Beat of My Heart」、ヴェルベット・アンダー・グランド(The Velvet Underground) 「Venus in Furs」などをカヴァー。
この間に、実質的にはデヴォーチカ(DeVotchKa)の作品といって良い「リトル・ミスサンシャイン(Little Miss Sunshine) [Soundtrack] 」を発表。
You Tubeにアップされた2曲目「Till the End Of Time」のプロモーション・ビデオ。
http://jp.youtube.com/watch?v=2BtxhqfNnwY
そして6作目が、ANTIと契約を交わし、ワールド・ワイドでリリースされた、「ア・マッド・アンド・フェイスフル・テリング(A Mad and Faithful Telling )」(2008年)。
上記の作品を続けて聴いて感じるのは、最初のアルバムから貫かれているデヴォーチカ(DeVotchKa)節。
ロック、パンク、フォーク、ルーマニアやギリシャやスロヴァニアのヨーロッパ音楽、ボレロ、マリアッチ等の世界中の音楽の絶妙なブレンドの異種交配とともに、ポップスとしての完成度の高さがその特徴。
1980年代末のいわゆるワールド・ミュージックの時代に大好きだったレ・ネグレス・ヴェルト(Les Negresses Vertes)以来といってもいいぐらいピタリと私の琴線に触れた(DeVotchKa)、ぜひお試しください。
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コメント
同じミクスチャー系でも、東欧やラテンのネイティブバンドにはない洗練というか奥ゆかしさがありますね。逆にいえばネイティブ系のバンドは荒削りなところが魅力なわけですが、devotchkaのように欧米ポップミュージックの含蓄を感じさせる微妙なニュアンスはなかなか出ないように思えます。
USAの若い世代はある意味ルートレスだからでしょうか、ときどきめちゃくちゃなワールド系ミクスチャーバンドが出現するので気が抜けません。ジャンル混淆でなく地理的ミクスチャーの追求ってことで、devotchkaのようなグループにはがんばってほしいものです。
投稿: MYB | 2008年8月 1日 (金) 01時38分
MYBさん、コメントありがとうございます。
確かにアメリカ音楽の懐深さには恐れ入る今日この頃です。
devotchkaのセンスの良さには期待大です。
投稿: Accounting&Music | 2008年8月 3日 (日) 21時52分