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非上場株式の価格算定方法の類型化へのチャレンジ。高橋義雄公認会計士「非公開株式 鑑定・評価の実務―キャッシュフロー法による鑑定・評価実務を中心に」

H200725  当ブログでもご紹介したように、中小企業庁は、非上場株式の価格算定の指針を、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本弁護士連合会の代表らでつくる中小企業庁長官の私的研究会「非上場株式の評価のあり方に関する委員会」がまとめる形で、年内にも作成するとのこと。

 非上場株式の価格算定方法の類型化については、そんなことは所詮無理との意見もあるでしょうが、過去に果敢にチャレンジされたのが、1993年に日本公認会計士協会経営研究調査会から公表された「株式等鑑定評価マニュアル」の作成の中心的メンバーであった高橋義雄公認会計士ではないでしょうか。

 高橋義雄公認会計士の研究成果は、「非公開株式 鑑定・評価の実務―キャッシュフロー法による鑑定・評価実務を中心に」(2000年)でより詳しく知ることができます。

■「株式等鑑定評価マニュアル」の「株式等鑑定評価の基本事例」

 1997年に公表された日本公認会計士協会経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」では省略されてしまいましたが、1993年の「株式等鑑定評価マニュアル」には、「株式等鑑定評価の基本事例」として、「1.経営権の移動を伴う株式の売買の場合」、「2.経営権の移動を伴わない少数株主から支配株主への移動の場合」、「3.株式公開予定の会社の少数株主から支配株主への移動の場合」、「4.経営権の移動を伴わない支配株主グループ内での移動の場合」、「5.少数株主間の移動で取引事例がある場合」の5つの事例が掲載されていました。

 その5つの事例を執筆されたのが、高橋義雄公認会計士です。

 ちなみに、前回ご紹介した「株式等鑑定評価マニュアルの解説」別冊商事法務No.161(1994年)の座談会において、5つの事例について、高橋義雄公認会計士が他の参加者へ応える形でかなり詳しい説明をしておりますので、興味のある方はぜひご覧いただきたいと思います。

■「非公開株式 鑑定・評価の実務―キャッシュフロー法による鑑定・評価実務を中心に」

 「非公開株式 鑑定・評価の実務―キャッシュフロー法による鑑定・評価実務を中心に」(2000年。1994年刊「非上場株式の評価・鑑定の理論と実務」の改題改訂)において、高橋義雄公認会計士は、詳細は省略しますが、支配割合と会社継続度合に応じて純資産法、収益還元法、配当還元法の3法を基本とし非上場株式の価額の複雑さを説明する「株式価額立体構造理論」という仮説を唱えています。

 さらに、立体構造をもった株式価額を、1次元の数値で置き換える作業が、鑑定であるとし、以下の算式を提案しています。

(1)支配株主としての評価

 株式の価値=α×収益還元価値+(1-α)×純資産価値

 α=会社継続度合

(2)少数株主も含めた評価

 株式の価値=a×配当還元価値+b×収益還元価値+c×純資産価値

 a=1-支配割合

 b=支配割合×会社継続度合

 c=支配割合×(1-会社継続度合)

(3)取引相場を加味した評価

 株式の価値=a×配当還元価値+b×収益還元価値+c×純資産価値+d×(類似会社比準価額又は取引事例価額)

 a=(1-比準割合)×(1-支配割合)

 b=(1-比準割合)×支配割合×会社継続度合

 c=(1-比準割合)×支配割合×(1-会社継続度合)

 d=比準割合

 そして、「株式等鑑定評価マニュアル」の「株式等鑑定評価の基本事例」は、この算式によりその結論が導かれることを説明されています。

■従来の中小・零細企業の非上場株式の価格算定方法の実務

 高橋義雄公認会計士による「株式等鑑定評価マニュアル」の「株式等鑑定評価の基本事例」の考え方は、一部の公認会計士等を除いて、残念ながら一般に周知されているものとは言えず、M&Aの専門家等が評価するDCF法等の評価を除くと、公認会計士・税理士等の会計専門家等が評価する場合は、贈与税課税の問題等から国税庁の財産評価基本通達による評価額による算定が圧倒的に多かったのではないかと推測されます。

■中小企業庁の非上場株式の価格算定の指針への期待

 2008年7月17日付日本経済新聞によると、日本税理士会連合会も加わっており、将来的には国税庁の財産評価基本通達への反映も目指すそうですので、一般に周知され、実務上も定着するものとなることが期待されます。

 高橋義雄公認会計士が尽力された「株式等鑑定評価マニュアル」の「株式等鑑定評価の基本事例」の考え方も、当然に踏まえたものになることも期待されます。

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