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日本の法人税率の引き下げの必要性。「企業が海外で稼いだ利益 環流へ税軽減を検討」(2008年7月17日付日本経済新聞)

 今日の日本経済新聞の朝刊に、3面にわたり、日本企業が海外で稼いだ利益が国内に還流せず、「税の空洞化」が進んでいるという記事が。

 近年、よく議論となる日本の法人税率の引き下げの必要性について考えてみます。

■2008年7月17日付日本経済新聞の記事

・1面:「製造業の税負担率 最低 国内より低い税率 海外利益、還流せず」

 日本の製造業が国内外で連結利益に対してどれだけ税金を払ったかを示す企業の税負担率が、2008年3月期に38.9%と前の期に比べて0.3ポイント低下し、過去最低になり、これは経営のグローバル化が進み、税率の低い海外で利益を増やしていることが背景にあり、法人税率が高い日本に海外利益が還流しにくい構図で「税の空洞化」が進み、高い税率は海外からの投資を呼び込みにくい一因にもなっており、今後の税制改正論議の焦点になりそうだとのこと。さらに、法人税率の引き下げ等の抜本的な改革に踏み込まないと税の空洞化が一段と進む可能性があるとのこと。

・3面:「企業の税負担率 きょうのことば」

 損益計算書の税負担を分子に、税引き前利益を分母に計算するという税負担率についての解説。

・5面:「企業が海外で稼いだ利益 環流へ税軽減を検討」

 利益が海外に滞留して環流しなければ、国内で設備投資や研究開発投資が進まなくなる可能性があるため、日本企業が海外で稼いだ利益を国内に戻しやすくするため、政府は2009年税制改正で、日本企業の海外現地法人からの受取配当を非課税にする検討に入る方針とのこと。

■各国の法人税率

 今日の日本経済新聞では各国の税率についてはごく一部につき簡単に触れているだけですが、KPMGジャパンのサイトに掲載された、KPMGインターナショナルによる世界86カ国を対象とした「各国法人税率調査」を見ると、確かに日本の法人税率は相対的に世界の高めの水準にあるように見受けられます。

 しかしながら、神奈川県のサイトに掲載された総務部の資等によると、地方の企業課税や不動産課税、社会保険料の事業主負担、民間医療保険料の負担などの要素で国際比較をしてみると、先進諸国の中では、我が国の租税負担はむしろ低いとも言え、こうした法人の租税負担の状況を正しく把握することが必要との意見もあるようです。

■グローバル競争の現実

 今日の日本経済新聞の1面で紹介されているHOYAは、早くから海外利益を標準的な税率が25%強のオランダに集めて運用する体制を築き税負担率が15%台にとどまるとのことだそうです。

 また、KPMGの「各国法人税率調査」によると、法人税率の引き下げは、イギリスにおいて80年代半ば(1982年~1986年)に当時首相であったマーガレット・サッチャーが法人税率を52%から35%に引き下げたことに始まり、それ以降、他国がこれに追随し、過去14年間にわたり、法人税率が継続的に大幅に引き下げられてきたそうです。

 中でも、日本と同じく外国との貿易に依存した小規模な島国であるアイルランドが、1993年当時の40%から、今日の12.5%まで徐々に引き下げられ、先進国の中で法人税率の最も低い国となり、今や1人当たりGDPも世界18位の日本を上回る世界4位と大きく躍進している事実は見逃せません。

 こういった、グローバル競争の現実を目の当たりにすると、海外現地法人からの受取配当を非課税とする対応策だけでなく、法人税率の引き下げは、やはり避けては通れない検討課題ではないかと思われます。

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