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28年に渡る実務経験に基づく貴重な見識。緑川正博公認会計士「非公開株式の評価―商法・税法における理論と実務」

H200731  当ブログでも続けてご紹介しているように、中小企業庁は、非上場株式の価格算定の指針を、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本弁護士連合会の代表らによる「非上場株式の評価のあり方に関する委員会」がまとめる形で、年内にも作成するとのこと。

 長年非上場株式の評価に携わってこられた緑川正博公認会計士が、28年に渡る実務経験に基づく貴重な見識を整理したのが、「非公開株式の評価―商法・税法における理論と実務」(2004年)。

 特に、商法における株式評価の判例についての解説が参考になります。

■「非公開株式の評価―商法・税法における理論と実務」(2004年)

 本書は、緑川公認会計士が、日本公認会計士協会による研修講座「非公開株式の評価」で講演を行うため、資料の整理を行い、さらにその講演録をまとめたもの。

 公認会計士の方ならご存知かもしれませんが、CPE(継続的専門研修制度)の集合研修CD-ROMとして公認会計士協会会員限定で販売されている「非公開株式の評価について」(平成18年4月20日)は、基本的に本書の内容に基づいています。

 また、私ごとではありますが、以前に、大変苦慮していた案件につき、緑川公認会計士に助言をいただいたことがあり、氏の長年にわたる実務経験に基づく奥深い見識に触れさせていただくことは大変貴重であると思います。

■商法における株式評価の判例

 本書については、商法における株式評価の判例についての代表的なものについての解説が掲載されており、大変参考になります。

 特筆すべきは、少数株主等からの株式買取請求等ではなく、出資持分払戻請求事件ではありますが、本業の収益力はそれほど高くないものの一等地のため価格が高騰した不動産を持つ合資会社の出資持分の評価について争われた、東京地裁・平成7年4月27日判決です。

 本書の他にも、判例時報平成7年11月11日号P130~137にさらに詳しい判例の要旨が収録されていますが、本業の収益力はそれほど高くないものの一等地のため価格が高騰した不動産を持つ会社の株式の評価には苦慮させられることが多く、非常に参考になるのではないでしょうか。

中小企業庁の非上場株式の価格算定の指針への期待

 本業の収益力はそれほど高くないものの一等地のため価格が高騰した不動産を持つ会社の株式の評価についても何らかの指針が示されるものと期待されます。

 そして、それは、緑川公認会計士が取り上げた、東京地裁・平成7年4月27日判決を踏まえたものになるのではないでしょうか。

非公開株式の評価について 非公開株式の評価について

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