壮大なるアメリカ音楽絵巻、昔。ヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)「ソング・サイクル」(Song Cycle)」(M)
スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)について語る際に何かと引き合いに出される、ヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)。
昨年から今年にかけての、細野晴臣へのトリビュート・アルバムへの参加を契機にした、ヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)久々の日本襲来ともいうべきリリース・ラッシュは嬉しい限り。
1stアルバム「ソング・サイクル」(Song Cycle)」(1968年)は、元祖アメリカ音楽絵巻ともいうべき、オーケストラや様々な楽器が織りなす万華鏡のような世界は、いつ聴いても味わい深い不思議な感覚が体験できる不朽の名盤です。
1943年生まれ、現在65歳のヴァン・ダイク・パークス(Van Dyke Parks)が、ファンの度肝を抜いてくれたのが、「細野晴臣トリビュートアルバム-Tribute to Haruomi Hosono-」(2007年)の2曲目「イエロー・マジック・カーニバル」のカヴァー。
タモリのハナモゲラ語のような、日本語詞を無視したスキャット風のヴォーカルに絡むストレンジなオーケストラ・アレンジに、ヴァン・ダイク・パークス・ファンは狂喜乱舞したのではないでしょうか。
さらに、2007年7月には、日比谷野外音楽堂で行われた「細野晴臣と地球の仲間たち~空飛ぶ円盤飛来60周年・夏の音楽祭~」に来日して参加。
この模様は、DVD「細野晴臣と地球の仲間たち~空飛ぶ円盤飛来60周年・夏の音楽祭~」(2008年)としても発売済。
こちらは、サンディーの日本語詞のヴォーカルで送る「イエロー・マジック・カーニバル」の他、「デスカヴァー・アメリカ(Discover America)」(1972年)からの「4人のミルスブラザーズ(Four Mills Brothers)」を自らハンド・マイクで歌いあげるサービス振り。
You Tubeにアップされた「イエロー・マジック・カーニバル」。
http://www.youtube.com/watch?v=2HPvAXvpLq4
2007年に発売された「ソング・サイクル」(Song Cycle)」(1968年)の再発盤は、他の4作と同じく、少し前に発売された同じくバーバンク・サウンドの雄、リトル・フィートの再発と異なり、たぶんヴァン・ダイクパークス(Van Dyke Parks)の意向もあるのでしょうが、残念ながら最新リマスター盤ではありません。
忠実に再現された紙ジャケ、小倉エージ氏の6ページにもわたる正に熱い解説、そしてリマスタリングされていなくても音的にも何の不満も感じさせない本再発盤は、ヴァン・ダイクパークス(Van Dyke Parks)はぜひ手に入れたいところ、初めての方もヴァン・ダイクパークス(Van Dyke Parks)に触れる良いチャンスかと思われます。
新旧の、アメリカ音楽絵巻、スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)とヴァン・ダイクパークス(Van Dyke Parks)ですが、共通点は、アメリカ音楽の中の白人音楽的伝統、大衆ポピュラー音楽の伝統とクラシックの伝統が核になっている点を挙げることができるでしょう。
逆に、相違点は、スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)がアメリカの田舎町の兄ちゃん的な気取りのなさを感じさせるのに対し、ヴァン・ダイクパークス(Van Dyke Parks)は細野晴臣がDVD中で「怖い」と語っているように人を寄せ付けないプライドの強さを感じさせる部分を挙げられます。
ファッションを見てもわかるのですが、スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)は、独自の美意識は感じるものの普段着っぽいスポーツ・カジュアル、ヴァン・ダイクパークス(Van Dyke Parks)は英国風味のアメリカン・トラディショナル・ファッションでいつもキメキメで強い自己主張を感じます。
これは、指摘がなされているのをあまり見かけないのですが、ヴァン・ダイクパークス(Van Dyke Parks)は、「ソング・サイクル」(Song Cycle)」のブリテッシュ・アイビー風のカントリー・スタイルから、DVDのオーバーオール・ファッションまで、常に洋服にこだわりまくっている人だと思います。
細野晴臣がヴァン・ダイクパークス(Van Dyke Parks)を評するのに使っている「内に秘めたる狂気」という点では、スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)も実は負けていないのかもしれませんが・・・。
2008年に楽しむ、壮大なるアメリカ音楽絵巻、今、昔、いかがでしょうか?
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