Perfume(パフューム)も株主総会ライブ!サザンに代わって事務所支える(産経ニュースより)
今週は、東京証券取引所のデータが示すとおり、3月決算の上場会社の株主総会が集中。
日本レコード協会の「日本のレコード産業 2008」によれば、音楽ソフト総生産金額は、10年前である1998年の約2/3までに縮み、厳しい状況が続く音楽業界でも、22日に、エイベックスがさいたまアリーナでの株主総会で、安室奈美恵、倖田來未ら所属する12組がライブを開催。
一方、同じく22日、アミューズの国技館での株主総会でも、我らがPerfume(パフューム)のプレミアムミニライブ (シークレット・ライヴ)が行われたとのこと。
「ビッグなアーティストを期待されていた方もいますが、すみません、私たちで。こんな年もあります」(スポーツ報知より。昨年は福山雅治だったらしい。)
「実は平成15年以来、2度目の出演なんです。その間(ブレークせず)路頭に迷った日もあったけど、ここまで面倒を見てくれたアミューズさんに感謝しています」(産経ニュースより。)
以前の記事でも指摘しましたが、Perfume(パフューム)の謙虚さ、義理人情の厚さ、泣かせてくれます。
というわけで、今回はずいぶん続けた税制改正を離れて、株主優待制度について考えてみます。
■会社法の観点から・・・株主優待制度は株主平等の原則に反しないのか?
一定の株式数以上の株主を対象とする株主優待制度が、株主平等の原則に反しないのかが問題になります。
江頭憲治郎教授の「株式会社法第2版」によれば、1.違反し無効の疑いありとする見解、2.優待の程度が軽微であれば違反しないとする見解、3.会社の合理的必要性の前には株主平等の原則も譲歩するとの見解、4.厳格な株主平等の適用範囲は、議決権の数や剰余金の配当等明文の規定の範囲に限られ、それ以外については、法の一般原則から生ずる合理的事務処理の要請があるに過ぎず、株主優待制度は後者の範疇なので違法性がないとする見解等があるようです。
■税務の観点から・・・株主優待を受ける株主は非課税か?
株主優待を受ける株主については、特に非課税規定はありませんが、会社の利益にかかわらず供与されるので配当所得にもならず、雑所得になると解されます。
したがって、厳密に言うならば、株主優待を受けると、外部に売却した時などはもちろん、自分で利用した時もその時価が雑所得として課税されることになります。
しかし、自分で利用する場合は、その時価の算定が困難である場合もあるし、現実には、よほど高価なものでない限り、自分で利用して雑所得として申告する人はまずいないのでないかと思われます(確定申告の必要のないサラリーマンの場合等で給与所得以外の所得が20万円を超えなければ申告義務がないという規定もあります)。
■資産運用の観点から・・・株主優待で株式投資を判断すべきか?
株主優待狙いで株式投資を判断すべきとの意見をよくみますがどうでしょうか?
この点につき、資産運用についての辛口な論客、山崎元氏は、「AERAマネー 今日から始める投資」(2008年4月)の「投資バカにならないための最終回答20問20答」で以下のように語っています。
「そもそも、投資をして利益を稼いで、そのお金で商品を買うのが株式投資本来の姿のはず。あえて株主優待を弁護するとしたら、株主という潜在顧客に商品を配るマーケティングという意味ならありえるかもしれません。」としますが、やはり「正常な投資判断をゆがめるもの」とし、「株主優待は、まさに子供だまし。」と断じています。
私も基本的に山崎元氏の意見に賛成で、株主に対する利益還元方法としての株主優待は本筋からはずれたものと言わざるを得ないと思います。
ちなみに、この「20問20答」、コンパクトながら、山崎元氏の著作の中でも最もよくまとまっていると思われ、機会があればぜひ一読していただきたいと思います。
■株主優待制度について感じること
上記のように、会社法、税務、資産運用のいずれの観点からも、問題がある制度かと思われます。
Perfume(パフューム)のプレミアムミニライブ (シークレット・ライヴ)の株主優待ならぜひ受けてみたい、というのもおじさんの本音ですが・・・。
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