壮大なるアメリカ音楽絵巻、今No.2。スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)「ミシガン(Greetings from Michigan: The Great Lake State )」(M)
前の記事でもご紹介した、ミュージック・マガジン2008年3月号に掲載された渡辺亨氏による来日時のインタヴューによると、スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)の自然主義は、学校で必ず学ばされるアメリカ人の必読書でエコロジーに対する問題意識が強かったヒッピー世代に再評価された、ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(Henry David Thoreau)「ウォールデン 森の生活(WALDEN LIFE IN THE WOODS)」(1854年)の影響によるものらしい。
この本は、資本主義経済にどっぷり浸かった私には少々しんどい。
また、現代文学の作家で影響を受けている人として、コロンビアのノーベル賞受賞作家ガルシア・マルケス(Gabriel José García Márquez)、イタリアのイタロ・カルヴィーノ(Italo Calvino)、アメリカのカート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut)などの幻想的な作風の作家を挙げています。
左写真は、ガルシア・マルケス「百年の孤独」(1967年)。私も、今までに読んだ小説の中で一番面白かったと思う大傑作。
左写真は、昨年4月に亡くなったカート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut)の最後の著作であるエッセイ、「国のない男(A Man Without a Country )」(2005年)。
カート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut)は、村上春樹が大きな影響を受けたことでも有名なアメリカのSF作家で、私も大学時代に、「猫のゆりかご(Cat's Cradle )」(1963年) などを愛読しました。
「国のない男(A Man Without a Country )」でも、スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)も「理想的な現代文のひとつ」と太鼓判を押す、シニカルかつユーモラスな簡潔で美しい文章は健在です。
「ミシガン(Greetings from Michigan: The Great Lake State )」は、スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)の出身地であるミシガン州に題材を得た15曲のコンセプチュアルな楽曲集ですが、ジャケット写真を見てもわかるとおり、湖に囲まれたミシガンがテーマであることもあり、彼の作品の中でも特に自然主義がにじみ出たナチュラルでアコースティックな手触り。
You Tubeにアップされた3曲目「For the Widows in Paradise, for the Fatherless in Ypsilanti 」の映像も実にナチュラル。
http://www.youtube.com/watch?v=d4tkiGvV_ek
スフィアンのバンジョー、いいですね。
また、発売当時は、スフィアンの公式サイトで1曲ごとに掌編小説をアップしていたらしく、文学的側面も前面に。
現在でもアップされているのか確認できませんでしたが、P-VINE RECORDSからの日本盤は、その日本語訳がライナーノーツに掲載されています。身近な物事を題材にしたものも多く、スフィアンの暖かいまなざしが伝わってきます。
スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)の特徴が最もよく現われた「ミシガン(Greetings from Michigan: The Great Lake State )」、ぜひ日本盤で手に入れてみてはいかがでしょうか?
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コメント
はじめまして。名古屋で税理士をしていますtakといいます。ロバート・パーマーで検索してたらこの素敵なブログに出会いました。ロバート・パーマーについての素晴らしいレビュー、同業者にこんなスゴイ方がおられたとは・・・これから師匠と呼ばせていただきます。フィアン・スティーヴンスですか・・・全く聞いたことがありませんでした。早速購入しようと思います。輸入盤が安いようですが、やっぱり日本盤ですよね?
投稿: tak | 2008年6月 5日 (木) 16時34分
takさん、はじめまして。
過分にお褒めいただき恐縮です。
想像の世界の音楽と現実の世界の税理士は水と油のようですね。ただし、長時間デスクワークの税理士の仕事は音楽を聴くことと実はよくなじむと思います。
スフィアンのアルバムは最近のものは歌詞付ですので、英語に強ければ輸入盤でもよいのではないかと思います。
文学的要素が強いので何を歌っているかわかる方がベターだと思います。
ただし、「ミシガン」の掌編小説に興味があるならば、現在でもWEB上にアップされているか確認できませんでしたので、アップされていないとするならば、日本盤がよろしいかと思われます。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: Accounting&Music | 2008年6月 6日 (金) 03時14分