平成20年(2008年)税制改正でこうなるNo.23。個人の寄附金税制の改正(ふるさと納税等。個人住民税)
今回は、個人の寄附金税制の改正(ふるさと納税等)です。
地域に密着した民間公益活動を寄附金により促進するとともに、地方と都市部の格差是正等によりふるさとを応援したいという納税者の思いを実現する観点から、
個人住民税につき
・寄附金控除の対象に地方公共団体が条例により指定した寄附金を追加等
・地方公共団体に対する寄附につき、通常の個人住民税の寄附金控除に加え、さらに一定額が上乗せで控除され、所得税と合わせて一定限度額まで全額控除できる制度(ふるさと納税)の創設
といった改正が行われました。
■従来の制度
・所得税の寄附金控除
国・地方公共団体、日本赤十字社等で政府が個別に指定したもの、学校法人等、政党等、認定NPO法人等に対する一定の特定寄附金について、下記の控除額を所得控除。
寄附金控除額(所得控除)
その年中に支出した特定寄附金の合計額-5,000円
総所得金額等の40%が限度
・個人住民税の寄附金控除
都道府県又は市町村、住所地の都道府県共同募金会、住所地の日本赤十字社支部等に対する一定の寄附金については、下記の控除額を所得控除。
その年中に支出した対象寄附金の合計額-100,000円
総所得金額等の25%が限度
■改正の概要
・個人住民税の控除方式の改正
所得控除方式から税額控除方式に改正されました。
なお、所得税については、従来通り所得控除方式が維持されています。
・個人住民税の寄附金の控除の対象の拡大
所得税の寄附金控除の対象となる一定の寄附金のうち地方公共団体が条例により指定した寄附金が追加されました。
・個人住民税の寄附金控除対象限度額の引き上げ
改正前の25%から30%に引き上げられました。
・個人住民税の寄附金控除の適用下限額の引き下げ
改正前の100,000円から5,000円に引き下げられました。
・個人住民税の地方公共団体に対する寄附金(ふるさと納税)についての控除の上乗せ
都道府県又は市区町村(地方公共団体)に対する寄附金については、通常の個人住民税の寄附金控除に加え、当該寄附金が5,000円を超える場合、その超える金額に、90%から寄附金を行った者に適用される所得税の限界控除率を控除した率を乗じて算出した金額の40%相当額(都道府県民税の所得割額×10%限度)が都道府県民税から、60%相当額(市町村民税の所得割額×10%限度)が市町村民税から、税額控除されることになりました。
・改正後の個人住民税の寄附金控除の概要
都道府県又は市町村、住所地の都道府県共同募金会、住所地の日本赤十字社支部、に対する寄附金、所得税の寄附金控除の対象となる一定の寄附金のうち地方公共団体が条例により指定した寄附金等の一定の寄附金については、下記の控除額を税額控除。
1.(対象寄附金-5,000円)×10%
2.(地方公共団体に対する寄附金-5,000円)×(90%-所得税の限界税率)・・・個人住民税の所得割の10%が限度
1.+2.の合計額・・・総所得金額等の30%が限度(地方公共団体以外に対する寄附金も含めて)
■個人の寄附金税制の改正(ふるさと納税等)から感じること
個人住民税の一部を生まれ育った故郷の自治体などに納めることを可能とする寄付金控除税制の改正で、いわゆる「ふるさと納税」が創設されました。
納税者の意思を実現する選択肢が広がったことは好ましいことかと思われますが、行政サービスを受ける住民が税を負担する「受益者負担の原則」の観点からは問題があるともいえます。
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