平成20年(2008年)税制改正でこうなるNo.15。住宅の省エネ改修促進税制の創設(所得税等)
今回は、住宅の省エネ改修促進税制の創設です。
地球温暖化防止に向けて家庭部門のCO2排出量の削減のため、
・自宅に省エネ改修工事を行った場合の
・所得税の税額控除
・固定資産税の軽減
の特例が創設されました。
■所得税の税額控除
・概要
居住者が、自己の居住用家屋について一定の省エネ改修工事を含む増改築等を行った場合、当該家屋を平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときは、一定の要件の下で、その省エネ改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高の1,000万円以下の部分の一定割合を所得税の額から控除する制度が創設されました。
・一定の省エネ改修工事とは
①居室の全ての窓の改修工事、又は①の工事と併せて行う②床の断熱工事、③天井の断熱工事若しくは④壁の断熱工事で、次の要件を満たすもの。
イ 改修部位の省エネ性能がいずれも平成11年基準以上となること
ロ 改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階相当以上上がると認められる工事内容であること
ハ その工事費用の合計額が30万円を超えるものであること
・現行の住宅ローン控除との関係
現行の住宅ローン控除とは選択適用となります。
現行の住宅ローン控除の適用対象に、大規模の修繕又は模様替等に加え、大規模の修繕又は模様替等に至らない一定の省エネ改修工事が加えられました。
・控除期間
5年間
・控除率
省エネ改修工事等に係る住宅借入金等の年末残高のうち、
特定の省エネ改修工事に係る工事費用(200万円を限度)に相当する部分の金額・・・2%
上記以外の金額・・・1%
・特定の省エネ改修工事とは
一定の省エネ改修工事のうち、改修後の住宅全体の省エネ性能が平成11年基準相当となると認められる工事内容のもの。
・住宅借入金等
償還期間5年以上の一定の住宅借入金等が適用対象。
・省エネ改修工事等の証明書
住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録住宅性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行する省エネ改修工事等の証明書が必要。
・適用時期
増改築等をした居住用家屋を平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合について適用。
■固定資産税の軽減
・概要
平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に、平成20年1月1日に存する住宅(賃貸住宅を除く)について30万円以上の省エネ改修工事を行った場合、その家屋に係る翌年度分の固定資産税(120㎡分までを限度)の1/3相当額が減額されます。
・対象となる改修工事
①窓の改修工事、又は①と併せて行う②床の断熱改修工事、③天井の断熱改修工事若しくは④壁の断熱改修工事(外気等と接するものの工事に限る)で、それぞれの部位が現行の省エネ基準に適合することとなるもののうち、工事費用30万円以上のもの。
・省エネ改修工事等の証明書と市町村への申告
住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録住宅性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行する省エネ改修工事等の証明書を添付して市町村への申告が必要。
■住宅の省エネ改修促進税制の創設から感じること
地球温暖化防止に向けて家庭部門のCO2排出量の削減という目的に資する好ましい税制改正かと思われます。
ただし、所得税の税額控除は、現行の住宅ローン控除と選択適用ですので、どちらを適用するか、慎重に検討すべきかと思われます。
現行の住宅ローン控除は、税額控除率1.0%、控除期間10年間、ローンの償還期間10年以上が対象、ローンの限度額2,000万円、工事費用100万円超が対象です。
住宅の省エネ改修促進税制の所得税の税額控除は、税額控除率1.0%(特定の省エネ改修工事2.0%)、控除期間5年間、ローンの償還期間5年以上が対象、ローンの限度額1,000万円(控除税率2.0%の特定の省エネ改修工事は200万円)、工事費用30万円超が対象です。
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