平成20年(2008年)税制改正でこうなるNo.14。住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の延長(相続税・贈与税)
今回は、住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の延長です。
高齢者の保有する資産を次世代に移転させるとともに、住宅投資の促進を図る観点から、
・相続時精算課税制度の特例として
・住宅資金の贈与の場合は、
・65歳未満の親からの贈与についても適用されるとともに
・非課税枠も2,500万円に1,000万円上乗せされ3,500万円となる
制度の適用期限が、
・平成19年12月31日までから
・平成21年12月31日までに
2年間延長されました。
■住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度
・概要
相続時精算課税制度について、自己の居住の用に供する一定の家屋の新築又は取得(家屋とともに取得する土地等を含む)をするために資金の増与を受ける場合、又は自己の居住用の用に供する家屋の一定の増改築等のための資金の増与を受ける場合に限り、65歳未満の親からの贈与についても適用されされるとともに、非課税枠も2,500万円に1,000万円上乗せされ3,500万円となります。
・贈与者の年令要件
ありません。65歳未満の親からの贈与についても適用されます。
・受贈者の年令要件
20歳以上であることは、通常の相続時精算課税制度と同様必要です。
・一定の家屋
新築又は築後経過年数が20年以内(一定の耐火建築物である場合には、25年以内)の家屋で床面積が50㎡以上であることその他の要件を満たすもの。
・一定の増改築
増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替等であって、当該増改築の工事費用が100万円以上であること、当該増改築の床面積が50㎡以上であることその他の要件を満たすもの。
■適用期限
2年間延長され、平成20年1月1日から平成21年12月31日までの贈与に対する時限措置です。
■住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の延長に感じること
高齢者から次世代への財産の移転、住宅投資の促進という観点からは、親子双方の希望にかなう重要な選択肢が維持確保された点で好ましい税制改正であると思われます。
ただし、相続時精算課税制度は、贈与税と相続税を一体化して、生前に贈与を受けた財産は親の死亡時に相続財産に合算して相続税で精算するいわば「相続の前倒し」とも言える制度であること、一度選択すると通常の暦年課税方式(基礎控除110万円の毎年利用)へは戻れないこと、倫理的側面において贈与は労力を要さずに得られることから子供への教育的配慮も考慮すべきこと、などにも十分に留意して、実行する際には慎重に判断すべきかと思われます。
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