平成20年(2008年)税制改正でこうなるNo.2。試験研究費税額控除(研究開発促進税制)の拡充(法人税・所得税)。
4月30日にようやく成立し、同日に公布・施行された平成20年度税制改正法案で、どこがどう変わったのか、引き続き概要を確認して行きたいと思います。
今回は、試験研究費税額控除(研究開発促進税制)の拡充についてです。
日本経済の国際競争力の強化、科学技術創造立国の実現、大企業から中小企業への委託研究費の増加の観点から、
・現行の試験研究費総額に係る税額控除(基本制度)に対する増加型部分を、試験研究費を増加させた場合(増加型)と、売上高に占める試験研究費の割合が一定水準を超える場合(高水準型)のいずれかを選択できる形へ改組
・控除限度額の法人税額の20%から、30%への拡大
が行われました。
■平成20年(2008年)税制改正の概要
・従来からの試験研究費総額に係る税額控除(基本制度)
試験研究費×控除率=法人税額からの控除額(法人税額の20%が限度)
控除率
試験研究費割合(試験研究費の総額÷当期を含む4年間の平均売上)が
10%以上→10%
10%未満→8%+試験研究費割合×0.2
資本金が1億円以下等の一定の条件を満たす中小企業者等→上記にかかわらず12%
・改正点
基本制度に対する増加型を改組し、以下の2つからの選択とされました。
増加型:(当期試験研究費-直近3事業年度の平均試験研究費)×5%
直近2事業年度よりも当年の試験研究費が多いことが条件
高水準型:(当期試験研究費-平均売上金額×10%)×税額控除割合
税額控除割合=(試験研究費割合-10%)×0.2
増加分の控除限度額は、基本制度の法人税額の20%と別に法人税額の10%とされ、合計で法人税額の30%とされました。
中小企業者等の場合は、法人税に加え、法人地方税も同様ですが、法人事業税には適用がありません。
■適用時期
平成20年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度につき適用。
所得税についても、同様な制度が平成21年分及び平成22年分につき適用。
■試験研究費税額控除(研究開発促進税制)の改正について感じること
・適用忘れに注意!
以前にも当ブログで指摘しましたが、租税特別措置法の税額控除は、その適用を受けるために余分にキャッシュ・アウトしたのでない限り、「お金の出ない節税」につながるすばらしい制度ですが、適用忘れが多いので注意が必要です。
・製造業以外でも適用可能!
試験研究費税額控除(研究開発促進税制)の対象となる試験研究費は、
「製品の製造」
又は「技術の改良・考案もしくは発明」
に係る試験研究のために要する費用
であり、製造業以外の業種の「技術の改良・考案もしくは発明」に係る試験研究のために要する費用も対象となると解されますので、特にご注意ください。
・赤字会社でも適用可能!
「うちは、赤字会社だから税額控除は関係ない」という方もいらっしゃるかもしれませんが、早合点は禁物です。
一定の条件を満たせば、控除しきれない額を1年間だけ繰り越し控除できますので、赤字会社でも適用可能な場合がありますので、この点も十分にご注意ください。
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