どうなる異例の事態No.11。減税項目の4月1日遡及、交際費使途秘匿金課税の適用時期細目も政令で明らかに。
当ブログでもお伝えのとおり、平成20年度税制改正法案は、4月30日にようやく成立し、同日に公布・施行されました。
そして、「所得税法等の一部を改正する法律附則第百十九条の二の規定による経過措置を定める政令」により、減税項目の4月1日遡及、交際費使途秘匿金課税の適用時期細目も明らかにされ、財務省及び国税庁のホームページにアップされました。
■減税項目:納税者にとって期限が切れると損な租税特別措置の4月1日からの遡及適用
平成20年4月1日から、遡及適用されるも主なものを挙げると以下のとおりです。
・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(租税特別措置法67の5等)。
・中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(租税特別措置法42の6等)
・試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(租税特別措置法42の4等)
・教育訓練費の額が増加した場合の法人税額の特別控除(租税特別措置法42の7等)
■増税項目:納税者にとって期限が切れると得な租税特別措置の適用時期細目
国税庁のホームページから引用すると下記のとおりとなります。
・交際費等の損金不算入(措法61の4、68の66)
(1) 改正前の制度の概要
法人が平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等の額は、その全額を損金の額に算入しないこととされています。ただし、資本金の額が1億円以下の法人については、支出した交際費等の額のうち、400万円までの金額の10%相当額と400万円を超える部分の金額との合計額を損金の額に算入しないこととされています。
(2) 改正の内容
適用期限が平成22年3月31日まで2年延長されました。
- (3) 適用関係
改正後の規定は、平成18年4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度について適用されます。
・使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例(措法62、68の67)
(1) 改正前の制度の概要
法人が平成6年4月1日から平成20年3月31日までの間に使途秘匿金の支出をした場合には、通常の法人税に加えて、その使途秘匿金の支出の額に40%の税率で追加課税されます。
- (2) 改正の内容
適用期限が平成22年3月31日まで2年延長されました。
(3) 適用関係
改正後の規定は、法人が公布日(平成20年4月30日)以後にする使途秘匿金の支出について適用され、法人が公布日前にした使途秘匿金の支出については、従前のとおりとされています。つまり、改正前の規定は、平成20年3月31日までの間にした使途秘匿金の支出について追加課税がされるというものであり、平成20年4月1日以後公布日前にした使途秘匿金の支出については、追加課税はされません。
- ・欠損金の繰戻しによる還付の不適用(措法66の13、68の98)
(1) 改正前の制度の概要
法人の平成4年4月1日から平成20年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた青色欠損金額については、原則として、欠損金の繰戻し還付制度(法法80)は適用されません。
- (2) 改正の内容
適用期限が平成22年3月31日まで2年延長されました。
(3) 適用関係
改正後の規定は、法人の公布日(平成20年4月30日)以後に終了する事業年度分の法人税について適用され、法人の公布日前に終了した事業年度分の法人税については、従前のとおりとされています。つまり、改正前の規定は、平成20年3月31日までの間に終了した各事業年度について、原則として、欠損金の繰戻し還付制度を適用しないというものであり、平成20年4月1日以後公布日前に終了した事業年度については、欠損金の繰戻し還付制度の適用があります。
■明らかにされた事項からわかることNo.1:予測通りの結果であること
このブログで既にご案内の予測通りとなり、課税上の大きな問題は回避できたかと思われます。
■明らかにされた事項からわかることNo.2:増税項目の「切れ得」はどんな時可能か?
・交際費等の損金不算入(措法61の4、68の66)
予測通り、切れ得は生じないことになりました。
・使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例(措法62、68の67)
平成20年4月1日から4月29日の間に支出された使途秘匿金については、課税の特例がないことになりました。
以前の記事で指摘の通り、使途秘匿金は、会社の利害関係者に対して違法ないし不当な支出につながり、経営陣や従業員のモラル低下、非効率な経営資源の配分など諸悪の根源となりますので、たとえ租税特別措置法の使途秘匿金課税なくても支出すべきではないとともに、たとえ支出した会社で使途秘匿金課税が適用されなくても、相手方で得た所得に課税されるおそれが高い点も忘れてはなりません。
したがって、「切れ得」だからといって素直に喜べる方は少ないのではないでしょうか?
・欠損金の繰戻しによる還付の不適用(措法66の13、68の98)
平成20年4月1日から4月29日の間に決算日を迎えた場合については、欠損金の繰戻し還付が可能ということになりました。
しかし、決算日が平成20年4月30日の場合は繰戻し還付は不能であり、平成20年4月1日から4月29日の間を決算日としている会社、しかも欠損金の繰戻し還付が可能な会社は、非常に稀なのではないでしょうか?
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