平成20年(2008年)税制改正でこうなるNo.5。地域間の税収格差是正に向けた法人事業税の改正・地方法人特別税等の創設
4月30日にようやく成立し、同日に公布・施行された平成20年度税制改正法案で、どこがどう変わったのか、引き続き概要を確認して行きたいと思います。
地域間の税収格差の縮小のため、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの暫定措置として、
・概ね2.6兆円の法人事業税を分離し、地方法人特別税の創設
・その収入額を人口及び従業者数を基準として都道府県に譲与する地方法人特別譲与税の創設
が行われました。
■法人事業税(所得割・収入割)の標準税率の改正
・普通法人
年所得等 資本金1億円超 資本金1億円以下
400万円以下 3.8%→1.5% 5.0%→2.7%
400万円超800万円以下 5.5%→2.2% 7.3%→4.0%
800万円超 7.2%→2.9% 9.6%→5.3%
・特別法人
年所得等
400万円以下 5.0%→2.7%
400万円超800万円以下 6.6%→3.6%
800万円超 7.9%→4.3%
・収入金額割課税法人の収入割の標準税率
電気、ガス供給業、保険業 1.3%→0.7%
・適用時期
平成20年10月1日以後に開始する事業年度
平成20年10月1日以後の解散による清算所得に対する法人事業税
について適用。
■地方法人特別税の新設
・法人事業税(所得割・収入割)の一部(約2.6兆円)を分離し、地方法人特別税(国税)とする。
・地方法人特別税の課税標準は、法人事業税(所得割・収入割)の税額(標準税率分)とする。
・税率
付加価値割、資本割額及び所得割額の合算額によって法人事業税を課税される法人
法人事業税(所得割額)×148%
所得割額によって法人事業税を課税される法人
法人事業税(所得割額)×81%
収入割額によって法人事業税を課税される法人
法人事業税(収入割額)×81%
・地方法人特別税の賦課徴収は都道府県が行う。
・適用時期
平成20年10月1日以後に開始する事業年度から適用
■地方法人特別譲与税の新設
・地方法人特別税の税収は、都道府県に地方法人特別譲与税として譲与
・譲与基準は、人口(1/2)及び従業員数(1/2)
・適用時期
平成21年度から地方法人特別譲与税として譲与
■地域間の税収格差是正に向けた法人事業税の改正等から感じること
この改正は、納税者が納める税金の総額には影響がなく、税金の都道府県間の配分の問題です。
この改正により、平成18年の税収で、最大である東京都は、最小道府県に対し、地方税3.1倍、法人ニ税(住民税・事業税)6.1倍、個人住民税3.3倍もの格差があることが明らかにされ、東京への集中が数字で明確になりました。
ただし、いくら税収格差の是正を行っても、東京以外の道府県でもグローバルな競争力を持った企業を育て上げて行かないと、日本全体が沈んで行くおそれがあります。
以前の記事でも触れましたが、具体的には、われわれ中小企業経営に携わる者であれば、誰かに頼ることなく1人1人が創意工夫を重ねることにより、収益から費用を差し引いた利益を少しでも多く生み出し企業価値を高めて行くという自立自助の精神が大切であり、日本経済の発展及びよりよい社会の実現につながって行くのではないでしょうか。
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