中小企業経営にこそ生かしたい「利益の生み出し方」。「勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─ 」
こちらは3月末を乗り切るのにせいいっぱいでヒーヒー言って本屋にも行けずにいたら、dancing-ufoさんのブログによると、公認会計士界の新星、勝間和代公認会計士の本がまたまた出たとのこと。
そのハイパーな執筆活動ぶりには相変わらず驚かせられますが、今度も着眼点、説得力が素晴らしい。
「決算書の暗号を解け! ダメ株を見破る投資のルール」と並んで、中小企業経営にこそ生かしたい、「利益の生み出し方」の本です。
その華やかな経歴から、中小企業経営者の方は、「オレには関係ない」、「中小企業と違う世界だ」と思いがちな勝間本。
ところが、利益がなんであがらないのか日夜悩んでいるのが中小企業の経営者。サラリーマンだって悩んでいるかもしれないけど、会社の借入金に連帯保証して自宅を担保に入れて、通帳とにらめっこして資金繰りをしている中小企業の経営者は次元が違います。
日本企業、特に中小企業は、利益率が低いというのは、中小企業経営に関与する者の共通の悩みで、2006年には本郷孔洋公認会計士が「営業利益2割の経営 」を出版し、日本企業だってむかしはもっと儲けていた、すべての企業が「粗利7割、営業利益2割」に挑戦すべきだと提言しており、私自身もこの問題には強い関心を持っているところです。
本書で、勝間和代公認会計士は、
これまでの利益管理手法
利益=売上高×限界利益率(1-変動費率)-固定費
ではなく
勝間式「万能利益の方程式」
利益=(顧客当たり単価-顧客当たり獲得コスト-顧客当たり原価)×顧客数
を軸に利益を生み出すことを提案しています。
その理由について、1.変動費と固定費の区分は、時期や立場によってあいまいであること、2.運用上の社内ルールを厳格に決めないと、社内でズルをしようとする人が出てくること、3.管理対象の費目が多すぎて、直感的に理解できないことを挙げていますが、どちらかというと大企業的な問題かと思われます。
私個人の意見としては、変動費と固定費の区分が比較的容易で原価計算が馴染まない中小企業経営においては、これまでの利益管理手法と勝間式「万能利益の方程式」を折衷した、利益=(顧客当たり単価×顧客数)×限界利益率(1-変動費率)-個別固定費というような手法の方が効果的と思います。
本書から、特に中小企業経営に生かしていただきたいのは、中小企業が最も苦手とする、「どうやって顧客単価を上げるのか」についての部分です。
ここでは、詳細には触れませんが、勝間和代公認会計士は、顧客単価が最も利益に影響するとして、結論として、下記のような顧客単価を上げるための行動習慣10を提案しています。
1.価格に迷った時には、高めに設定すること
2.顧客に対する見せ方について、なるべく高い価格の競合商品だと思わせること
3.顧客はこちらから、高い価格を付けてくれそうな相手を積極的に選定していくこと
4.値下げを要求する顧客は場合によっては、見切ること
5.価格が高いこと=品質保証であるという信頼を顧客に持ってもらうこと
6.松・竹・梅など福す数の単価を設定して、顧客の懐に応じた価格付けを任せること
7.コンプレックスの解消を中心に、相手の上質世界の解決を目指すこと
・・・・・後は本書を直接お読みください。
あと、勝間公認会計士の特に説得力のあるところは、「お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践」のネーミング、「効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法」の装丁など、自身の出版戦略の成功体験をところどころに交えて語っているところです。
「利益がなんであがらないのか」というコンプレックスの解消マーケットの一員である私も見事に顧客化され、口コミのお手伝いをさせていただいているわけですが・・・。
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