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ロバート・パーマー(Robert Palmer)が紹介してくれた音楽No.2。リトル・フィート「ディキシー・チキン」

H200401  2007年デジタル・リマスターの9枚組ボックス・セット、ロバート・パーマー「アイランド・イヤーズ(ISLAND YEARS 1974-1985)」(2007年)収録の1st~4stアルバムにかけて、時には深く時には浅く関与したのが、リトル・フィート。

 ロバート・パーマーはこのアルバムからはカヴァーしていませんが、ロ-ウェル・ジョージのスライド・ギターが縦横無尽にかけめぐる、ネオン・パークの描く印象的なジャケットでもあまりにも有名なリトル・フィート「ディキシー・チキン」(1973年)をピック・アップいたします。

 ミュージック・マガジン1994年11月号の広川裕氏のインタビューによると、グラム・ロックが嫌いだったので、大好きなミーターズやリトル・フィートなどと1970年代を一緒に過ごせて本当によかったと思っている、とデビュー当時を回顧していたロバート・パーマー。

 このインタビューで、「スニーキン・サリー・スルー・ジ・アリー」で共演したとされるアラン・トゥーサンについては、その噂を否定し会うことさえなくミーターズと仕事したかったのでかまわないという趣旨の発言もしています。ミーターズとリトル・フィートは両者ともライヴ・バンドとして有名であり、広川裕氏もその発言からロバート・パーマーのバンド指向を指摘しています。

 ロバート・パーマーは、リトル・フィートのカヴァーとしては、「セイリング・シューズ」(1972年)からタイトル曲「セイリング・シューズ」、「トラブル」を、「アメイジング」(1974年)から「スパニッシュ・ムーン」を取り上げており、「ディキシー・チキン」からはカヴァーしていません。

 しかし、ロ-ウェル・ジョージのスライド・ギターが縦横無尽にかけめぐる「ディキシー・チキン」が、リトル・フィートのアルバムの中で、私は一番好きです。

 レコード・コレクターズ1995年10月号のリトル・フィート特集での高橋健太郎氏の記事(本年1月発売の「レコード・コレクターズ増刊 ウェスト・コースト・サウンド」にも再録)によると、ディキシー・チキン以後のロ-ウェル・ジョージのスライド・ギターは、MXRのコンプレッサーにより歪みの少ないクリーンな音色のままプレイできるようになり、それが独特のモダンな感覚につながっているとのことです。

 エレキ・ギター、マルチ・トラック・レコーダー、シンセサイザー、サンプラー、コンピューターなど技術革新が音楽に与えた影響は大きいのですが、一見そうは思えないロ-ウェル・ジョージのスライド・ギターも機材の技術革新によるものだったとは面白いと思います。

 また、2曲目「トゥー・トレインズ」の録音時に、録音でロスアンジェルスを訪れていた細野晴臣らはっぴいえんどのメンバーが見学し、そのシンコペーションに衝撃を受けたというエピソードも有名です。細野晴臣によると「何で見ちゃったんだろうと思うけど、見ちゃったものはしょうがない」というほどの衝撃だったようです(ミュージック・マガジン2007年11月号より)。

 名盤の誉れ高いリトル・フィート「ディキシー・チキン」ですが、昨年に2007年最新デジタル・リマスター・紙ジャケット盤が発売されており、ロ-ウェル・ジョージのスライド・ギターが最高の音質で楽しめるとともに、ネオン・パークのイラストも日本の最高品質の紙ジャケット技術で楽しめます。

 2007年最新デジタル・リマスター盤ですが、紙ジャケでない廉価版でしたら比較的入手しやすいようですので、これを機会にご検討されてはいかがでしょうか?

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