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どうなる異例の事態No.8。平成20年4月24日日本経済新聞「交際費、損金算入認めず・政府方針、大企業の混乱回避」

 当ブログでも続けてご紹介しているとおり、いまだに未成立の平成20年度税制改正法案。

 本日、平成20年4月24日の日本経済新聞朝刊に、「交際費、損金算入認めず・政府方針、大企業の混乱回避」の記事が掲載されましたが、何か新しい動きがあったのでしょうか?

■「交際費、損金算入認めず・政府方針、大企業の混乱回避」(平成20年4月24日の日本経済新聞より引用)

 政府は大企業の交際費の損金算入を当面認めない方針だ。「大企業の交際費の損金不算入」は3月末にいったん失効した租税特別措置法のうちの一つ。同法の改正案が衆院で再可決されれば、失効期間が決算期の一部に含まれる3月期決算の企業でも算入を認めずに不算入を適用する。課税の公平性を確保し、企業の混乱を抑える。

 租税特別措置法は、資本金1億円超の企業が交際費を損金に算入することを認めていない。この特例はガソリン税の暫定税率と同じように3月末でいったん期限切れしており、事業年度の一部に空白ができている企業も少なくない。このため企業の一部からは「大企業も損金算入できるのではないか」との見方が出ていた。

期限切れした主な租税特別措置

          事項          内容     再可決後の対応は
       (検討中)
交際費の損金算入 大企業の損金算入を認めず 変更なし
使途秘匿金への加算課税 支出額の4割を加算課税 失効期間の支出分は加算課税せず
欠損金の繰り戻しによる還付 設立5年以内の中小企業に限って容認 失効期間に決算を迎える全企業に容認
中小企業への投資促進税制 中小企業が設備投資した場合に法人税を軽減 失効期間に決算を迎える企業も利用可能に
ガソリン税 1リットル当たり約25円の税金上乗せ 失効期間に下がった税金はさかのぼって課税せず。

■日本経済新聞からわかることNo.1:当ブログでお知らせしていた動向に大きな変化はない模様

 以前より、当ブログでお知らせしていた動向に、大きな変化はないようです。

 すなわち、中小企業への投資促進税制のような、減税項目、すなわち納税者にとって期限が切れると損な租税特別措置は、遡及して適用される可能性が高いようです。

 使途秘匿金への加算課税、欠損金の繰り戻しによる還付、ガソリン税のような、増税項目、すなわち納税者にとって期限が切れると得な租税特別措置は、憲法84条の解釈である不利益不遡及の原則から、4月1日に遡及適用が行われない可能性が高いようです。

 増税項目、すなわち納税者にとって期限が切れると得な租税特別措置でも、平成20年3月31日までの間に開始する各事業年度」ベースで適用する交際費の損金不算入(租税特別措置法61条の4)については、平成20年税制改正法案成立後に納税義務が確定することが想定されるため、例えば3月決算の大企業の場合に、事業年度の一部に交際費が損金算入できる空白期間が生じているよう見えるものの、来年の3月時点の租税特別措置法を適用するのでその時までに平成20年税制改正法案が成立していれば、交際費の損金算入は認められない可能性が高いようです

■日本経済新聞からわかることNo.2:外国では失効リスクを考慮した租税特別措置法の仕組みがある

 例えば、イギリスでは、下院が政府の税制改正案の執行を認めれば、国会審議の終了前に暫定的に徴税できる制度があるそうです。

 イギリスでは、中央銀行の総裁も、議会の承認不要なので空席はありえないらしいですが、ベンチマークとすべき金融立国イギリスももちろんのこと、他国の議会決議に関するリスク管理は大いに学ぶ必要があるようです。

 

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