ロバート・パーマー(Robert Palmer)が紹介してくれた音楽No.3。ネヴィル・ブラザーズ「ファイヨー・オン・ザ・バイユー(Fiyo on the Bayou)」(M)
ミュージック・マガジン1994年11月号の広川裕氏のインタビューによると、グラム・ロックが嫌いだったので、大好きなミーターズやリトル・フィートなどと1970年代を一緒に過ごせて本当によかったと思っている、とデビュー当時を回顧していたロバート・パーマー。
ミーターズは、「セカンド・ライン」と呼ばれるニューオーリンズ・ファンクを代表する1960年代から1970年代のR&Bバンド。同じく1980年代から現在にかけてニューオーリンズ・ファンクを代表するネヴィル・ブラザーズの前身バンドとしても有名。
今回は、私の好みでミーターズ~ネヴィル・ブラザーズの作品で一番好きな、アップ・テンポでスピード感のあるネヴィル・ブラザーズ「ファイヨー・オン・ザ・バイユー(Fiyo on the Bayou)」(1981年)をピック・アップします。
ミーターズ(METERS)といえば、ロバート・パーマー「スニーキン・サリー・スルー・ジ・アリー(Sneakin' Sally Through the Alley)」(1974年)と同年に発売された、「Rejuvenation」(1974年)を本来はピック・アップすべきかもしれません。
また、ネヴィル・ブラザーズといえば、U2でおなじみダニエル・ラノワのプロデュースによるヒット作「イエロー・ムーン」(1989年)をピック・アップすべきかもしれません。
でも、私は、「ファイヨー・オン・ザ・バイユー(Fiyo on the Bayou)」が、「セカンド・ライン」の楽しさが満喫できて一番好きなのです。
「セカンドライン」と呼ばれる音楽の由来は、ウィキペディアの解説を引用させていただくと次のとおりで、簡単に言うと埋葬を終えた後の帰路のパレードの音楽で「魂が解放されて天国へ行くことを祝う意味が込められいる」とのことです。
セカンド・ラインは、ジャズ・フューネラルというニューオーリンズ独特の葬儀のパレードから生まれた。ジャズ・フューネラルでは、パレードは先頭を歩くファースト・ラインとその後につくセカンド・ラインとに分かれる。ファースト・ラインは、故人の遺族および関係者のみが参加し、重々しい曲を演奏しながら、葬儀場から墓地まで棺を運ぶ。
一方、セカンド・ラインは埋葬を終えた後の帰路のパレードで、ファースト・ラインとは対称的に賑やかな曲を演奏しながら、街を練り歩く。遺族、関係者だけではなく、音楽に魅せられた通行人もパレードに加わる。彼らは、音楽に合わせて踊り、ハンカチを振り、色とりどりの傘を掲げてパレードを盛り上げる。ファースト・ラインの重々しい演奏が故人を悼むためのものであるのに対し、セカンド・ラインの明るさには、魂が解放されて天国へ行くことを祝う意味が込められているとされる。セカンド・ライン・パレードへの参加者は、セカンド・ライナーズなどとも呼ばれる。
「ファイヨー・オン・ザ・バイユー」の一曲目、ミーターズ「Rejuvenation」に収録されていたのがオリジナルである「ヘイ・ポッキー・ウェイ(HEY POCKY A-WAY)」が正にセカンド・ラインを代表する名曲です。同曲をカヴァーした久保田麻琴「セカンドライン」(1979年)での久保田自身のライナー・ノーツによると、実際に「HEY POCKY A-WAY」というはやし言葉はニューオリンズのインデイアン・パレードで必ず聞かれるものだそうです。
この曲を聴くと、「魂が解放されて天国へ行くことを祝う意味が込められいる」というのがよくわかります。ミーターズのオリジナルよりも、「ファイヨー・オン・ザ・バイユー」のアップ・テンポのバージョンが私は好きです。
ミーターズは、どのアルバムも全体的に牧歌的というかテンポが遅く、ネヴィル・ブラザーズ「ファイヨー・オン・ザ・バイユー」はなぜか全体的にアップ・テンポで、リズムにキレがあり、そこが魅力です。
ロバート・パーマーは、ミーターズが大好きだったようですが、ロバート・パーマーの音楽はネヴィル・ブラザーズ「ファイヨー・オン・ザ・バイユー」のキレのあるファンキーさに近いような気がするのですがいかがでしょうか?
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