ポピュラリティとクォリティの完全な両立。キャロル・キング「つづれおり(Tapestry)」
アデル「19」を聴いて、無性に聴きたくなったのが、キャロル・キング「つづれおり(Tapestry)」(1971年)。
「つづれおり」は、当時、全米アルバムチャートで15週連続1位、その後も302週連続でトップ100にとどまる大ヒットを記録しただけでなく、今なお人々から愛され、世界中で延べ2200万枚を超える驚異的なヒットを記録している歴史的名盤です。
それだけのポピュラリティを得たアルバムですと、わかりやすさのために、繰り返し聴くたびに味わい深くなるクオリティの面が犠牲になってしまう例が多いのですが、キャロル・キング「つづれおり」の凄いところは完全に両者が両立できているところです。
私が、キャロル・キング「つづれおり」とともに常に手許において置き、いつの時代でも愛聴してきた名盤としてビーチ・ボーイズ「ペット・サウンズ」がありますが、「ペット・サウンズ」は全米アルバムチャート10位どまりだったことを考えると、「つづれおり」のポピュラリティとクオリティの両立は驚異的だと思います。
その高いポピュラリティについては、1960年代に職業ソング・ライターとして、当時の夫ジェリー・ゴフィンとコンビで、「ロコモーション」などの数多くの名曲を生み出し活躍した経験が大きく関係していると思われ、ヒットを生むにはどうすればよいかがその時に体得されたのではないでしょうか?
その高いクオリティについては、歳を重ねていっても心にしみる普遍性を持った歌詞とそれを活かす哀愁を帯びたメロディと歌い方が大きく関係しているのではないでしょうか?
例えば、タイトル曲である「つづれおり(Tapestry)」で、人生を「深遠で上品な色合いのつづずれ織り(a tapestry of rich and royal hue)」に例えていますが、聴き手が自由に人生を重ねわわせることができる歌詞の普遍性とそれを活かす哀愁を帯びたメロディと歌い方は、長く聞き続けてもあきない大きな要因だと思います。
ただし、キャロル・キングは、「つづれおり」の他にも数多くのアルバムを作っていますが、「つづれおり」と、その姉妹作ともいうべき「カーネギー・ホール・コンサート」(1996年に公表された「つづれおり」リリース直後の1971年のライヴ)が、ダントツに出来が良く、その他の作品はこの2つの完成度を超えることができていないと思われます。
現時点でしたら、昨年キャロル・キングが来日したこともあり、アナログ盤中ジャケットのセピア・カラーの「つづれおり(Tapestry)」が忠実に再現された紙ジャケットCD(1999年リマスタリング)が容易に手に入るようですので、これを機会にご検討されてはいかがでしょうか?
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