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異例の事態ようやく収拾。逓増定期保険の税務上の通達一部改正。

 2008年1月11日13日15日と本ブログ記事でもお知らせした逓増定期保険の税務取扱いの改正についての続報です。

 従来、利益の出た法人の節税に活用されていた逓増定期保険ですが、平成19年3月にその節税効果を制限する通達の改正予定が国税庁から生命保険に伝えられ、ほとんどの生命保険会社は販売を自粛するという異例の事態が続いておりました。それに対して、国税庁は、平成19年12月にようやく、逓増定期保険の税務上の取扱いの一部改正案を公表し、パブリックコメントの手続きに付していました。

 そして、平成20年2月28日に、パブリックコメントの結果が公表されるとともに、昭和62年6月16日付直法2-2「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」(法令解釈通達)の一部改正が公表され、平成20年2月28日以後の契約に係る保険料から適用となることになりました。

■中小企業の経営者向け定期保険、生保が販売再開(日本経済新聞2008年3月1日より引用)

 生命保険各社は中小企業の経営者らが加入する「逓増(ていぞう)定期保険」の販売を再開する。国税庁が課税方法の見直しを検討していたため昨年3月から販売を停止してきたが、新たな課税方法が決まったのを受けて再開する。従来より節税効果は大幅に縮小するため、節税メリットを強調したこれまでの営業手法は見直しを迫られる。

 逓増定期は中小企業の経営者を被保険者に、企業が契約する生命保険。同じ掛け捨て保険料を払い続けるうちに保険金額が次第に増加する。企業は条件によって保険料全額を損金算入して課税所得を圧縮できるため、節税効果をねらって加入する中小企業も多い。国税庁が28日付で出した通達は保険料全額を損金算入できる条件を大幅に厳しくし、損金算入は保険料の半額にとどまる例が増えそうだ。

■中小企業の課税所得の繰延目的の保険加入の検討も見直しに

 改正後の通達によると、今後は、利益が出た法人が法人契約の逓増定期保険を課税所得の繰延に利用することはほぼ困難になったと思われます。

 本来、法人契約の生命保険は、あくまでも、代表者等の死亡などのリスクのヘッジ手段であると思われます。節税効果を度外視すると、本来は保険料が前払いとなる逓増定期保険は、保険料が相当に割引にならない限り資金効率から言って経済合理性が乏しいはずです。

 絶対的に税額の減少する節税ならともかく、課税所得の繰延はタイミングのずれにすぎないのでコストをかけてまで行うことは、冷静に分析すると合理的でない場合が多いと思われます。

 今後は、保険加入の検討も、本来のリスクヘッジとしての利用という原点に戻って行くことになると思われ、中小企業経営者の立場からもむしろ好ましいことではないかと思われます。

■法人契約の生命保険の保険料の損金処理による節税効果の重要性は依然として高い

 しかしながら、課税所得の繰延は無理でも、保険料を損金処理できる法人契約の生命保険の節税効果は大きいと思われます。法人を設立されたオーナー経営者の方は、生命保険料控除を受けられるのみの個人契約よりも、保険料の損金処理が可能な法人契約を検討されるとよいかと思われます。

 あくまでも、リスクヘッジとして必要があることが前提となりますが。

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