どうなる異例の事態。ぎりぎりで租税特別措置「つなぎ法案」成立。
開業以来、基本的に与党=自民党の税制改正大綱のとおり行われるのが当たり前だと思ってきた税制改正ですが、ねじれ国会の混乱が続く中での今年の税制改正は全く予断を許しません。
ようやく、今日の国会で、特に影響が大きいのではと心配された土地売買の際の登録免許税の軽減税率(原則2.0%を1.0%に軽減)等の暫定税率の期限を5月末まで2カ月延長する「つなぎ法案」は成立した模様。
ところが、交際費課税の特例や試験研究費の税額控除等の租税特別措置の延長は定められていないそうで、これらについてはいったん期限切れとなるようであり、今後の動向に目が離せません。
■読売新聞の記事(平成20年3月31日)より引用
31日で期限が切れる租税特別措置のうち、ガソリン税など道路特定財源に関する税を除いた暫定税率の期限を5月末まで2カ月延長する「つなぎ法案」が、同日午後の衆参本会議で可決、成立した。
つなぎ法の対象は、土地売買の際の登録免許税の軽減税率▽海外旅行者が国内に持ち込むたばこやウイスキーへの課税軽減▽東京オフショア市場取引や債券を担保にする「外債レポ」取引の利子非課税措置など。取得価格50万円以下の中古車に対する自動車取得税の免除措置や、燃費性能に優れた自動車の取得税を軽減する現行の特例措置も延長される。
ガソリン税など道路特定財源に関する税の暫定税率は、自民、民主両党が31日、税率維持の法案を4月2日に参院で審議入りすることで合意。4月1日午前0時で撤廃されることが確定した。
■税務研究会のホームページ「税務通信速報」によると
「ただし、“つなぎ法案”では交際費課税の特例や試験研究費の税額控除等の租税特別措置の延長は定められておらず、これらについてはいったん期限切れとなる模様。」とのことです。
■上記の記事からわかるポイントNo.1:土地売買の際の登録免許税の軽減税率の期限延長
現行は、本則が固定資産評価額の2.0%であるのに対し、平成20年3月31日までの特例として固定資産評価額の1%に軽減されることになっていましたが、与党のものを受けた財務省の税制改正大綱によれば、平成21年3月31日までは固定資産評価額の1%に軽減、平成22年3月31日までは固定資産評価額の1.3%に軽減、平成23年3月31日までは固定資産評価額の1.5%に軽減と、段階的に税率が引き上げられることとされていました。
ところが、租税特別措置法が期限切れになると、4月1日から、固定資産評価額の2.0%に登録免許税が跳ね上がってしまうため、その影響は大きく、事態が懸念されておりました。
今回の「つなぎ法案」により、固定資産評価額の1%への軽減税率がとりあえず5月末まで2カ月延長されたようです。
ちなみに、不動産売買契約書や建設工事請負契約書の印紙税の軽減の特例は、平成21年3月31日が期限切れですので、今回は関係ありませんのでご心配なく。
■上記の記事からわかるポイントNo.2:交際費課税の特例や試験研究費の税額控除等のいったん期限切れとなった租税特別措置がある模様
原則は全額損金不算入、資本金1億円以下の中小企業者に限っては定額控除限度額400万円を超える部分+定額控除限度額400万円以下の部分×10%が損金不算入という交際費等の損金不算入の特例、試験研究費の税額控除の特例がいったん期限切れとなったようです。
詳しくは、このブログでも随時追って行きたいと思います。
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