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すっきりらくらく安心な資産運用と個人の税金No.4。中小企業経営者の老後資金の積立運用の決定版「小規模企業共済」

 「すっきりらくらく安心な資産運用」と個人の税金について引き続き考えてみます。

 以前にご紹介したように、「小規模企業共済」は、個人向け国債と同様に、売り手の経済合理性とかけ離れた、買い手にとって明らかに有利な公的商品であると思います。

 今回は、「小規模企業共済」について、個人の税金に関してもう少し詳しく考えてみたいと思います。

■小規模企業共済の税務上のメリット

 以前の記事でも指摘の通り、下記の税務上のメリットがあります。

・掛け金が、所得税及び住民税の計算上、小規模企業共済等掛金控除として、各年の課税対象所得金額から全額控除することができます(最大84万円)。一般5万円限度、年金5万円限度の生命保険料控除しか受けられない民間生命保険よりも有利です。

・個人事業の廃止や会社等の解散、役員の死亡による退職、老齢給付などにより共済金を受け取る場合、一括受取り共済金については「退職所得」扱い、また分割受取り共済金については「公的年金等の雑所得」扱いとなります。保険金を受け取る場合に、原則として公的年金等控除が受けられない雑所得となる民間生命保険よりも有利です。

 以下、運営する独立行政法人中小企業基盤整備機構のQ&A等を参考に、「小規模企業共済」と個人の税金に関してより詳しくまとまめると以下の通りになります。

■契約者が支払う掛け金

 納付した掛金(申込金を含む)は、所得税及び住民税の計算上、小規模企業共済等掛金控除として、各年の課税対象となる所得金額から全額(ただし、掛け金自体の限度が月額7万円×12ヶ月=84万円)を控除することができます。

 所得控除の対象となる「納付した掛金」は、その年に納付期限の到来している掛金で、その年に実際に納付したものをいい、前納期間が1年以内の前納掛金についても、その全額を支払った年の分の掛金として所得控除することができます。

 なお、掛金は、契約者自身の所得から納付しますので、事業所得の必要経費には算入できません。

■小規模企業共済等掛金控除を受ける場合の手続

・年末調整を受ける場合

 小規模企業共済等掛金が給与から差し引かれている場合は、契約者個人では特別な手続は必要なく、給与支払者側で小規模企業共済等掛金控除を適用し年末調整がなされることになります。

 契約者個人が直接支払っている場合は、「給与所得者の保険料等控除申告書」の「申告による小規模企業共済等掛金の控除分」蘭に、納付した掛金を記載し、小規模企業共済等掛金の額を称する書類(「小規模企業共済等掛金証明書」)を添付する必要があります。

 他の理由により確定申告が必要な場合を除いて、原則として年末調整により課税関係が終了します。

・年末調整を受けない場合

 確定申告書に小規模企業共済等掛金に関する事項を記載するとともに、小規模企業共済等掛金証明書を添付又は提示する必要があります。

 ただし、平成20年1月4日以後において、e-Taxを利用して平成19年分以後の所得税の確定申告書を提出する場合は、小規模企業共済等掛金証明書の添付又は提示に代えて、その記載内容を入力して送信しても差し支えありません。その場合は、小規模企業共済等掛金証明書を3年間保管しておく必要があります。

■掛金の全額所得控除による節税額(所得税及び住民税)の目安

 独立行政法人中小企業基盤整備機構のQ&Aで、下記の目安が示されています。

課税される所得金額加入前の税額加入後の節税額
所得税住民税掛金月額1万円掛金月額3万円掛金月額5万円

掛金月額7万円

200万円 102,500円 204,000円 20,500円 56,500円 92,500円 128,500円
400万円 372,500円 404,000円 36,000円 108,000円 180,000円 238,000円
600万円 772,500円 604,000円 36,000円 108,000円 180,000円 252,000円
800万円 1,204,000円 804,000円 39,600円 118,800円 198,000円 277,200円
1,000万円 1,764,000円 1,004,000円 51,600円 154,800円 258,000円 361,200円

※1「課税される所得金額」とは、その年分の総所得金額から、基礎控除、扶養控除、社会保険料控除等の諸控除を控除をした額で、課税の対象となる金額をいいます。
※2 税額は、平成19年1月1日現在の税率に基づき算定しています(定率減税は考慮していません)。住民税均等割については、4,000円としています。

■共済金・解約手当金の税法上の取扱いについて

 独立行政法人中小企業基盤整備機構のQ&Aで、下記のとおり一覧にまとめらており、わかりやすいのでそのまま引用いたします。

種類税法上の取扱い確定申告の必要の有無
共済金
(除く死亡時)
一括受取り
退職所得扱い ・源泉徴収しますので原則不要
・「共済金等請求書」の提出と同時に、「退職所得申告書」の提出が必要
共済金
(除く死亡時)
分割受取り
公的年金等の雑所取扱い(注1)(注2)(注3) ・源泉徴収として一律7.5%徴収します
・確定申告が必要(毎年1月に源泉徴収票を送付します)
共済金(死亡) みなし相続財産として相続税の課税対象(死亡時退職金) ・相続財産として申告が必要
準共済金 退職所得扱い ・源泉徴収しますので原則不要
・「共済金等請求書」の提出と同時に、「退職所得申告書」の提出が必要
解約手当金
(任意解約)65才以上
退職所得扱い ・源泉徴収しますので原則不要
・「共済金等請求書」の提出と同時に、「退職所得申告書」の提出が必要
解約手当金
(任意解約)65最未満
一時所得扱い ・一定額以上の解約手当金は確定申告が必要(注4)
解約手当金
(任意解約以外)
一時所得扱い ・一定額以上の解約手当金は確定申告が必要(注4)

(注1) 分割共済金における公的年金等の雑所得扱いとは....
その年中にお受け取りいただいた分割共済金にその他の公的年金額を加えた額から「公的年金等控除」の額を差し引いた額が課税対象となります。
(注2) 分割で共済金をお受け取りいただく場合に未返済の貸付金、未納掛金等がある場合は、共済金からこれらの額を控除しますが、その控除額は一括受取り共済金となり、税法上の扱いも同等になります。
(注3) 繰上げ受取りされる分割共済金は、退職所得扱いとなります。(死亡の場合は相続財産となります)
(注4) 一時所得扱いの場合は、一時所得の金額の計算上、納付した掛金の総額は、支出した金額に算入できません。(ただし、現物出資により法人成りしその法人の役員に就任した場合は退職所得扱いとなります)

■開業したら早目に加入の検討が必要

 小規模企業共済の加入資格は、常時使用する従業員が20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主と会社の役員等ですので、開業し数年が経ち、やっとゆとりが出来て加入しようとしたら、加入資格要件を満たさなくなっていたということが起きる可能性が高いと思われます。

 加入後に従業員が増えても共済契約は継続できますので、開業したら、早めに買い手にとって明らかに有利な小規模企業共済への加入を検討すべきですのでご注意ください。

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