すっきりらくらく安心な資産運用と個人の税金No.3。株式投資信託による「世界市場ポートフォリオ」その2。
「すっきりらくらく安心な資産運用」と個人の税金について引き続き考えてみます。
今回も、前回に引き続き「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」などの株式投資信託による、「世界市場ポートフォリオ」を行う場合の個人の税金について考えてみます。
■国内投資信託で契約型かつ公募の株式投資信託の特別分配金の課税関係
追加型(オープン型)株式投資信託の期中分配金のうち、個別元本を上回る部分からの分配金が普通分配金、個別元本を下回る部分からの分配金が特別分配金です。
特別分配金については、本来の収益分配金とみなさず、元本の払い戻しと考え、所得税及び住民税の計算上、非課税とされます。
■国内投資信託で契約型かつ公募の株式投資信託の償還差損益・解約差損益の課税関係
・償還差益・解約差益の課税関係
所得税及び住民税の計算上、収益の分配と同様に取り扱われます。
・償還差損・解約差損の課税関係
所得税及び住民税の計算上、譲渡損とみなしてその年の公募株式投資信託の受益証券、株式、新株予約権付社債などの譲渡益と相殺でき、相殺しきれない譲渡損は、確定申告することにより翌年以降3年間の繰越控除が可能です。
・償還差益・解約差益と償還差損・解約差損は相殺できるか?
償還差損・解約差損は、譲渡損とみなされ株式などの譲渡益とのみ相殺ができ、公募株式投資信託の償還差益・解約差益と償還差損・解約差損は相殺できませんので、ご注意ください。
■国内投資信託で契約型かつ公募の株式投資信託の譲渡損益の課税関係
所得税及び住民税の計算上、株式の譲渡と同様の取り扱いとなります。
原則として、譲渡所得に該当し、株式等の譲渡所得として他の所得と分離して確定申告する必要があります。
例外として、給与所得者及び退職所得以外の所得が20万円以下の場合は、所得税の確定申告をしないことができます。この場合でも、住民税については確定申告が必要です。
・特定口座による申告不要
証券会社で開設した取引口座が特定口座(源泉徴収あり)である場合は、所得税7%及び住民税3%の合計10%(平成21年1月以降は所得税15%及び住民税5%の合計20%)が源泉徴収されることで、確定申告をしないで、課税関係を終了させることができます。
・譲渡益の課税関係
譲渡対価から取得費及び譲渡費用を控除して計算した譲渡所得に対して、所得税7%及び住民税3%の合計10%(平成21年1月以降は所得税15%及び住民税5%の合計20%)が課税されます。
・譲渡損の課税関係
その年の公募株式投資信託の受益証券、株式、新株予約権付社債などの譲渡益と相殺でき、相殺しきれない譲渡損は、確定申告することにより翌年以降3年間の繰越控除が可能です。
■国内投資信託で契約型かつ公募の株式投資信託の換金方法は「買取」か「解約」か?
結論から言うと、税務上は一般に「買取」が有利ですので、特別な理由がない場合は「買取」をおすすめいたします。
・「買取」と「解約」
「買取」とは、受益証券を証券会社に売り、証券会社が換金代金を支払い、証券会社は買い取った受益権を解約するもので、税務上は譲渡として扱われます。
「解約」とは、証券会社の取り次ぎにより、受益証券と引き換えに、信託財産から受益証券相当分を引き出すもので、税務上は解約として扱われます。
・「買取」の方が「解約」よりも一般に有利な理由
「買取」と「解約」ともに、換金価額は同じです。
「解約」の場合に、解約差益と解約差損の相殺ができず不利な場合があります。
「解約」の場合に、説明は省略いたしますが配当所得と譲渡損の相殺ができず不利な場合があります。
「解約」の場合は配当所得として申告が不要ですが、「買取」でも、特定口座(源泉徴収あり)を選択していれば申告が不要です。
・「解約」の方が「買取」よりも有利な特別な場合
マル優を使って購入している場合は、「買取」はマル優の対象外なので「解約」が有利です。
特定口座(源泉徴収あり)で取引していないケースで、確定申告を不要にしたい場合は「解約」が有利です。
■相続が発生した場合の評価額
相続発生日において、解約請求または買取請求により、証券会社等より支払を受けることができる価額として、以下の算式により計算した金額により評価します。
相続発生日の 相続発生日において解約 信託財産留保額及
1口当たり × 口数 - 請求等した場合に源泉 - び解約手数料(消
の基準価額 徴収されるべき所得税 費税額に相当する
の額に相当する金額 額を含む。)
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