すっきりらくらく安心な資産運用と個人の税金No.2。株式投資信託による「世界市場ポートフォリオ」。
前回に続き、「すっきりらくらく安心な資産運用」と個人の税金について考えてみます。
今回は、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」などの株式投資信託による、「世界市場ポートフォリオ」を行う場合の個人の税金について考えてみます。
■「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」などの株式投資信託の区分
税務上、例えば「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」の場合は、次のとおりの区分となるかと思われますが、商品により区分が異なる場合がありますので、個別の商品ごとに慎重に判定する必要があります。
・「契約型」か「会社型」か?
信託契約に基づき運用される「契約型」になります。
・「国内投資信託」か「外国投資信託」か?
日本の法令に従って国内で業務を認可された運用会社(投資信託会社)が運用する「国内投資信託」になります。
・「私募投資信託」か「公募投資信託」か?
不特定多数が取得できる「公募投資信託」になります。
・「公社債投資信託」か「公社債投資信託以外の投資信託」か?
約款上で株式に投資することを認めていない「公社債投資信託」ではないので、「公社債投資信託以外の投資信託」(読みにくいので以下「株式投資信託」と表記します)になります。
■国内投資信託で契約型かつ公募の株式投資信託の収益の分配への課税関係
毎決算期の収益分配金は、配当所得として上場株式等の配当と同様の税制となります。
収益分配金を受け取る際に、所得税及び住民税が源泉徴収されます。税率は、本則は、所得税15%及び地方税5%の合計20%ですが、平成16年1月1日から平成20年3月31日までは、所得税7%及び地方税3%の合計10%に軽減されています。
収益分配金の金額にかかわらず、確定申告の義務はなく源泉徴収だけで課税関係を終了させることができます。ただし、収益分配金について確定申告した場合は、配当所得として総合課税された上で配当控除の適用(ただし、後述のように株式の配当よりも控除率が低いので注意)があり、源泉徴収税額の精算もできるので、確定申告した方が有利な場合があります。
確定申告した場合は国民健康保険料(税)の算定の基礎に収益分配金も含まれることになりますので、その点も含め、個別具体的に慎重にご検討ください。
■国内投資信託で契約型かつ公募の株式投資信託の収益の配当控除
配当控除が可能なのは、運用資産について、投資信託約款で定められている、外貨建資産割合(信託財産の総額のうちに外貨建資産の占める割合)及び非株式割合(信託財産の総額のうちに株式以外の資産の占める割合)のいずれもが、75%以下のもの(「特定証券投資信託」)に限られます。
配当控除の税額控除率は下記のとおりです。
・外貨建資産割合及び非株式割合のいずれもが50%以下またはそのいずれにも運用していない場合
所得税5%、住民税1.4%
・外貨建資産割合及び非株式割合のいずれもが75%以下で上記以外の場合
所得税2.5%、住民税0.7%
ただし、課税総所得金額が1,000万円超の場合、1,000万円を超える部分については、配当控除率は、上記の1/2となります。
配当控除を受けるためには、「特定証券投資信託に係る配当控除額の計算書」を作成し確定申告書に添付する必要があります。
ちなみに、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」のように外貨建資産割合の高い株式投資信託は、配当控除は不能かと思われます。しかし、課税所得がない場合など、配当控除が不能でも源泉徴収税額の精算ができる場合は、確定申告した方が有利な場合がありますので、確定申告の損得については個別具体的に検討が必要です。
■申告不要を選択した場合の合計所得金額の判定
国内投資信託で契約型かつ公募の株式投資信託の収益の分配は、申告不要を選択した場合は、配偶者控除等の適用に必要な、合計所得金額の判定に含めないことになります。
■国内投資信託で契約型かつ公募の株式投資信託の収益の分配の支払調書
個人に対し国内において公募株式投資信託の収益の分配の支払をする金融機関は、支払調書をその支払確定日から1ヶ月以内に税務署長に提出しなければなりません。
ただし、1回の支払金額が5万円(収益の分配が年1回の場合は10万円)以下のものは提出する必要がありません。
いや~、プロの私でもイヤになるぐらいに複雑な投資信託の税金ですが、以下、次回以降に続けさせていただきます。
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