高橋幸宏「ハート・オヴ・ハート(HEART OF HURT)」と同じ感触。プリファブ・スプラウト 「スティーヴ・マックイーン~レガシー・エディション」
昨年5月に発売された、パディ・マクアルーン率いるプリファブ・スプラウト 「スティーヴ・マックイーン~レガシー・エディション」ですが、1985年のプリファブ・スプラウト の名作 「スティーヴ・マックイーン」の単なる再発ではありません。
当時のプロデューサーのトーマス・ドルビーが2006年にリマスタリングしたDISC1と、パディ・マクアルーンが8曲を選び新たに製作したアコースティック・ヴァージョンのDISC2の2枚組。
アコースティック・ヴァージョンのDISC2が最高で、高橋幸宏「ハート・オヴ・ハート(HEART OF HURT)」と同じく曲の良さが引き立ちます。
「スティーヴ・マックイーン」はプリファブ・スプラウトの2作目ですが、私的にはアレンジがまだこなれていない感があり、3作目の「ラングレー・パークからの挨拶状 」(1988年) からがプリファブ・スプラウトの本領発揮という印象を持っていました。
ところが、今回のアコースティック・ヴァージョンのDISC2を聴いて、その出来の良さにびっくりしました。詩と曲の良さを引き立てる簡素だが練りに練られたアコースティック・サウンドは、高橋幸宏「ハート・オヴ・ハート(HEART OF HURT)」とそっくりな感触です。
高橋幸宏も確か、90年代に、面白い音楽がなくなってしまったがプリファブ・スプラウトだけはいいと思うというようなコメントをしていたはずですが、繊細な感受性を持った完全主義者という点で、パディ・マクアルーンと共通するものがあるのかもしれません。
ポール・レスター氏及び渡辺亨氏のライナー・ノーツによると、パディ・マクアルーン自らが提案したアコーステック・バージョンは、アレンジが練り直されるとともに、録音には「スティーヴ・マックイーン」を上回る時間が費やされたそうです。もしかすると、パディ・マクアルーン自身も、「スティーヴ・マックイーン」のアレンジに満足していなかったのかも知れません。
パディ・マクアルーンは、ソングライティングの素晴らしさは誰もが認めるところですが、楽器の上手い人という印象を今まで持っていなかったので、アコースティック・ギターの素晴らしさにはびっくりしました。
高橋幸宏「ハート・オヴ・ハート(HEART OF HURT)」での、日本を代表するアコースティック・ギターの名手、吉川忠英、徳武弘文の2人に全く引けをとりません。
「ガンマン・アンド・アザー・ストーリーズ」(2001年)以来ご無沙汰となっている、忘れた頃に発売されるプリファブ・スプラウトのオリジナル・アルバムが待ち遠しくなります。
DISC2が新録音だからといって、さらに5年ぐらい待たされるということは無しにしてもらいたいものです(彼等だったらやりかねないかもしれませんが)。
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