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ニール・フィンのいつも変らぬ誠実なミュージシャン・シップに感謝。クラウデッド・ハウス(Crowded House)「Time on Earth」

H200320time_on_earth  前回のリアム・フィン(Liam Finn)の記事でも触れた、クラウデッド・ハウス(Crowded House)「Time on Earth」。

 2005年にオリジナル・メンバーのドラマー、ポール・ヘスターが46歳の若さで自殺するという衝撃的な事件が発生。もう再結成は不可能かと思われましたが、オーディションによりベックのバッキングで来日経験もあるMatt Sherrodをドラマーに迎え、2007年に14年振りのアルバム「Time on Earth」を発表。

 私的にはハズレ率0%を誇る(今や他にはビョークやコーネリアス(小山田圭吾)ぐらいか?)、ニール・フィンのいつも変らぬ誠実なミュージシャン・シップに心より感謝します。

 2005年のオリジナル・メンバーのドラマー、ポール・ヘスターの自殺は本当に残念でした。

 私は、1988年7月の「テンプル・アンド・ロウ・メン」発表直後のクラウデッド・ハウスの来日公演を見に行っているのですが、ライヴでのポール・ヘスターのユーモアあふれるエンターテイナー振りが、強い印象として残っています。確か、ドラム・セットにただ座っていることは少なく、大道芸人のように立ったままスネアをブラッシングしたり、積極的に動き観客の笑いを誘っていた印象があります。

 クラウデッド・ハウスのような、レコーディングにこだわる洒落たセンスのポップ・ロック・バンドというのは、ライヴが弱いことが多いのですが、1984年のデビュー当時にアメリカをくまなくツアーすることにより鍛え上げられたせいか、ポール・ヘスターのエンタテイナー振りだけでなくライヴ・バンドとしての非常に高い演奏力に驚いた記憶があります。

 実は、私的には彼らの最高作で前作になる「トゥゲザー・アローン」(1993年)発表後の1994年にも来日が決定し、チケットまで買っていましたがキャンセルになり、大変残念だった思いがあるとともに1988年の来日公演を見ることができて良かったと思います。

 ちなみに、「トゥゲザー・アローン」発表後のニュージーランドのマオリ族の太鼓とコーラス部隊が加わったライヴは、いくつかブートレグになっていますが最高の出来です。彼らに興味がある方は機会があれば入手されてみるのがよいのではないでしょうか?

 お約束のベースのニック・セイモアの不思議なイラストのジャケットに包まれた本作も、ニール・フィンの哀愁ただようソング・ライティングと相変わらずスウィートなボーカル(私的にはここが魅力)、ライヴで鍛え上げられたグルーヴ、実に心地よい最高の音像とクラウデッド・ハウス節が満載です。

 特に、1曲目「Nobody Wants To 」の、アコースティック・ギター→ドラム→ピアノ→ボーカルと徐々に重なり合って行く音像の美しさは圧巻です。クレジットを見ると、そうこの曲のミキシング・エンジニアは、チャド・ブレイク(Tcad Blake)です!

 本年2月10日に発表された第50回グラミー賞で、スザンヌ・ベガ「ビューティ&クライム~ニューヨーク・ストーリー」(2007年)でBEST ENGINEERED ALBUMを受賞したチャド・ブレイクは、思えば、クラウデッド・ハウスのデビューアルバムで、ミッチェル・フルーム=プロデューサー、チャド・ブレイク=エンジニアのコンビが有名となり、その後の2人の活躍が始まったという縁があり、そのことを知るファンには嬉しい限りの人選です。

 本作には、ミキシング・エンジニアとして、チャド・ブレイクだけでなく、イーサン・ジョーンズやスティーヴ・リリーホワイトなどが参加していますが、全体としては統一された音像の美しさがあり、エンジニアが誰であれ今までのすべての作品の録音が素晴らしいことからわかるとおり、録音へのこだわりはニール・フィンのセンスによるところが大きいと改めて思います。

 ニール・フィンのいつも変らぬ誠実なミュージシャン・シップあふれる「Time on Earth」、1年遅れで結構ですのでぜひ日本でも発売を期待したいところです。音楽配信隆盛の中、奇特ともいえる日本盤ライナー・ノーツ愛好者なもので・・・。

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音楽等(やや通向)」カテゴリの記事

コメント

チャド・ブレイクって、最近そんな賞をもらってたんですね。ミッチェル・フルームの元奥さんの作品で。

90年代のなかば、ロスロボス〜ラテンプレイボーイズに衝撃を受け、しばらくあのコンビ、特にチャド・ブレイクのかかわった作品を漁っていました(その流れでクラウデッドハウスもフィン兄弟名義のアルバムも聴きました。ちなみに一番好きだったのはソウル・コフィンです)。

最近は「エンジニアはあのチャド・ブレイク」みたいな記事を音楽誌で目にすることも少なくなりましたので、久々のチャド・ブレイク情報に思わず食いついてしまいました。

投稿: MYB | 2008年3月21日 (金) 03時22分

 MYBさん、コメントありがとうございます。
 ロスロボス〜ラテンプレイボーイズ、ソウル・コフィン、懐かしいですね。
 私は、ミッチェル・フルームとチャド・ブレイクの仕事は、クラウディッド・ハウスを含め、ニール・フィンとの仕事が好きです。
 ニール・フィンの魅力として、マニアックさを中和してしまう天性のさわやかさだも挙げられます。
 チャド・ブレイクは、1998年にシェリル・クロウの「グルーヴ・セッションズ」でもグラミー賞をとっているみたいですね。
http://www.digidesign.com/index.cfm?navid=49&langid=5&itemid=29607

投稿: Accouting&Music | 2008年3月22日 (土) 02時18分

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