快感の1人ポリリズム。ロバート・ジョンソン「コンプリート・レコーディングス」より「クロスロード(四辻)・ブルース」
ウィキペディアに基づくロバート・ジョンソンの略歴は以下のとおりです。
ロバート・ジョンソン(1911年5月8日- 1938年8月16日)は、1930年代に活躍したアメリカ合衆国ミシシッピ州出身のミュージシャンです。アコースティック・ギター1本でブルースを弾き語りして、アメリカ大陸中を渡り歩きましたが、当時の聴衆はそのギター・テクニックが巧みなのに驚き、「十字路で悪魔に魂を売り渡して引き換えにテクニックを身につけた」という「クロスロード伝説」が広まりました。夫のいる女性に手を出したため、27歳の時にストリキニーネで毒殺されたとされ、彼が遺したものは2枚の写真と29曲42テイクだけとされています。
1991年に出版された「音楽の未来に蘇るもの」で、音楽評論家高橋健太郎氏は、ロバート・ジョンソンの音楽は低音弦によるウォーキング・ベースと、残りの弦によるコードやオブリガードによって織りなされるギター奏法において、ブルースの歴史を書き換えるものだったと指摘しました。そして、ロバート・ジョンソンのギターはとても不思議で類いまれなリズム感を持っており、その本質は、人類の最古のリズムといえる歩行のリズムである2拍子を一方で3つに割りもう一方で2つに割ることによる6と4のポリリズムをたった1本のギターの中で微妙に交錯させている点にあると具体的に指摘しました。
当時は、サリフ・ケイタ、ユッスー・ンドゥール、パパ・ウェンバ、シェブ・ハレドといった、ポリリズムを多用した非西欧世界のいわゆるワールド・ミュージックがどんどん日本にも紹介され、Perfume(パフューム)の記事にも書いたとおり、ポリリズムにポピュラー音楽の未来があると思いました。高橋健太郎氏の「音楽の未来に蘇るもの」の論調も、当時のそんな気分をよく表しており、当時夢中になって読んだものです。
ロバート・ジョンソン「コンプリート・レコーディングス」も、そんなポリリズムな気分にあふれた1990年に突然発売され、かなりの反響を呼びました。
中でも、当然に注目すべきなのは、上記の「クロスロード伝説」の基ととなった曲でもあり、エリック・クラプトンのクリームでのカバーがあまりにも有名な「クロスロード(四辻)・ブルース」でしょう。私は、恥ずかしながら1990年にロバート・ジョンソンのバージョンを初めて聞いたのですが、クリームのバージョンとあまりにも印象が異なるポリリズミックな不思議な曲調にびっくりした記憶があります。
なお、現在では1998年リマスターのロバート・ジョンソン「キング・オブ・デルタ・ブルース・シンガーズ」(1961年)がCD化されており、「クロスロード(四辻)・ブルース」も収録されていますので、そちらを買われるのもよいかと思われます。
なお、「コンプリート・レコーディングス」のジャケットのあまりにも印象的なロバート・ジョンソンの2枚しかない写真の1枚ですが、この写真は権利関係の問題からか1989年に公表されたそうです。「キング・オブ・デルタ・ブルース・シンガーズ」(1961年)の頃には、写真が残されていないとされていたためイラストのジャケットになっていたようです。
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