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民事再生法、会社更生法等での資産評価損後の減価償却。減損会計の減損処理後の減価償却から考える(評価損・定額法編)。

 我が国の企業は、会計上の減価償却の方法として、法人税法の規定に基づく減価償却方法を採用することがほとんどです。

 民事再生法、会社更生法等での財産評定に伴う資産の評価損を計上後の減価償却をどうするかについては、法人税法上は、定率法の場合に資産の評価損を計上後の帳簿価額を基礎とすることを除いて特別な規定がないため、その他の点では基本的に従来通りの減価償却方法を継続することになります。したがって、会計上の減価償却の方法も同様とすると、経済的実態を適切に表したものとは言えない場合もあり、以前から実務的には苦慮するところでありました。

 現在は、類似の処理である固定資産の減損処理について、平成15年に実務指針が示されていますので、それに準じて会計上の減価償却を処理するのが望ましいかと思われますが、簡単な例を用いてまずは定額法について考えてみます。

 「固定資産の減損に係る会計基準」(平成14年8月9日企業会計審議会)三1によれば、減損処理を行った資産については、減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行います。

 さらに、企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(平成15年10月31日企業会計基準委員会)によれば、減損損失を控除した帳簿価額から残存価額を控除した金額を、企業が採用している減価償却方法に従って、通常の資産と同様に、規則的、合理的に配分することになります(55項)。

 残存価額については、耐用年数到来時において予想される当該資産の正味売却価額となりますが、税法規定等に基づく残存価額に重要性が乏しい場合には,当該残存価額を耐用年数到来時において予想される当該資産の正味売却価額としてみなすことが容認されています(29項)。

 耐用年数については、減損処理時点における企業が自主的に見積もった経済的残存耐用年数となりますが、著しい相違がある等の不合理と認められる事情のない限り、税法耐用年数に基づく残存耐用年数を経済的残存使用年数とみなすことが容認されています(21項)。

 償却率については、上記の減価償却の計算要素の見直しに基づき見直しが必要となることになります。

 上記の減損会計の取り扱いに準じて、民事再生法、会社更生法等での財産評定後の減価償却について、次のような簡単な例を用いて考えてみます。

■設例

 当初の取得価額 100  残存価額 10  償却可能限度額 5 

 法定耐用年数 10年  減価償却方法 定額法  当初償却率 0.100  

 財産評定損計上時 5年目末  財産評定額 20  財産評価損 35

 減損会計に準ずる場合は、税法規定に基づく容認規定を利用するものとする。

 資産は平成19年3月31日以前に取得し、法人税法の旧償却方法で償却可能限度額まで償却するが、残額は償却可能限度額まで達した翌事業年度以降5年間で均等償却するものとする(なお、法人税法では1円まで)。

 減価償却の計算は、とりあえず10年目末(11年目期首)まで行うものとする。

■資産評価損後の減価償却の計算例(定額法)

区分 法人税法の規定に基づく場合 減損会計に準ずる場合
基礎となる
取得価額
当初の取得価額 100 評価損控除後の帳簿価額 20
残存価額 当初取得価額の10%
(ただし、5%まで償却し、残額は5%まで達した翌事業年度以降5年間で均等償却)
10 ■原則 耐用年数到来時の予想正味売却価額
■容認 税法規定に基づく残存価額(当初取得価額の10%(ただし、5%まで償却し、残額は5%まで達した翌事業年度以降5年間で均等償却))
10
耐用年数 法定耐用年数 10 ■原則 評価損計上時点における経済的残存使用年数
■容認 税法耐用年数に基づく残存耐用年数
5
償却率 当初償却率 0.100 上記に応じて見直した償却率 0.200
年度 評価損なし(税法) 法人税法の規定に基づく場合 減損会計に準ずる場合
期首
簿価
償却率 償却額 期首
簿価
償却率 償却額 評価損 期首
簿価
償却率 償却額 評価損
1 100 0.100 9 100 0.100 9   100 0.100 9  
2 91 0.100 9 91 0.100 9   91 0.100 9  
3 82 0.100 9 82 0.100 9   82 0.100 9  
4 73 0.100 9 73 0.100 9   73 0.100 9  
5 64 0.100 9 64 0.100 9 35 64 0.100 9 35
6 55 0.100 9 20 0.100 9   20 0.200 2  
7 46 0.100 9 11 0.100 6   18 0.200 2  
8 37 0.100 9 5 0.100 1   16 0.200 2  
9 28 0.100 9 4 0.100 1   14 0.200 2  
10 19 0.100 9 3 0.100 1   12 0.200 2  
11 10     2       10      
合計     90     63 35     55 35

 特に定額法に関しては、法人税法の規定に基づく場合は、減損会計に準ずる場合に比べて、大きく償却が早まってしまうのがわかります。これは、法人税法の規定だと、資産の評価損が計上され、資産の価額が減価しているにもかかわらず、定額法の計算要素である取得価額が当初どおりであるとともに当初の償却率をそのまま使うために、従来と同額の減価償却費が計上されてしまうためです。

 民事再生法、会社更生法等での財産評定に伴う資産の評価損の場合は、減損損失と異なり法人税法上も一定の条件を満たせば損金算入が可能なのですが、資産の評価損計上後の減価償却については会計上の減価償却と乖離が生じてしまうおそれがあります。

 一般に法人税法の償却限度額の方が多額になると思われ、会計上で適切な減価償却方法を採用すれば大きな問題は生じないかとは思われますが、2種類の減価償却を行うため固定資産管理システム上で税務と会計の2重管理が生じる等の問題があります。

 ぜひとも、今後は法人税法の減価償却の簡素化の議論と並行して、民事再生法、会社更生法等での財産評定に伴う資産の評価損計上後の減価償却の会計との整合性も実現してもらいたいところです(減損会計との整合性もですが)。

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