意外と知らない個人の確定申告豆知識No.2。確定申告が必要ない人
インターネットを検索しても、確定申告が必要な人は良く出てきても、意外に出てこないのが確定申告が必要ない人の説明です。
確定申告が不要な人は、どんな人でしょうか?
■確定申告が必要ない人を簡単に言うと
所得がない人とお答えになった方はお詳しい方です。
さらに、「給与所得者で年末調整により所得税の精算が済んでいる人で、その他の所得の合計額が20万円以下の人も」とお答えになった方はかなりお詳しい方です。
簡単なとらえ方は、少々乱暴ながらそれでもいいと思いますが、より正確に説明するならば以下のとおりとなります。
■確定申告が必要ない人を詳しく説明すると
国税庁のホームページの確定申告が必要な人の説明を逆にすると、確定申告が必要ない人は以下のとおりとなります。
1.給与所得がある人
次の計算において残額がない人、残額がある人でも(1)から(6)のいずれにも該当しない人
A.各種の所得の合計額(譲渡所得や山林所得を含む)から所得控除を差し引いて算出された課税される所得金額を求める。
B.課税される所得金額に税率を乗じて算出された所得税額を求める。
C.所得税額から配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額を差し引き残額を求める。
(1) 給与の収入金額が2,000万円を超える
(2) 給与を1 か所から受けていて、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20 万円を超える
(3) 給与を2か所以上から受けていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20 万円を超える
※ 給与所得の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄付金控除及び基礎控除を除く)を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円以下の方は、申告は不要。
(4) 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた
(5) 給与について、災害減免法により源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた
(6) 在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税を源泉徴収されないこととなっている
2.公的年金等に係る雑所得のみの人
公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと、残額がない人
3.退職所得がある人
外国企業から受け取った退職金などの源泉徴収されないものがない人
※ 退職所得については、一般的に、退職金の支払の際に支払者が所得税を徴収する源泉徴収だけで所得税の課税は済む。なお、退職所得以外の所得がある方は、1.又は4.を参照。
4.1.から3.以外の人
次の計算において残額がない人
A.各種の所得の合計額(譲渡所得や山林所得を含む)から所得控除を差し引いて算出された課税される所得金額を求める。
B.課税される所得金額に税率を乗じて算出された所得税額を求める。
C.所得税額から配当控除額を差し引き残額を求める。
■意外と勘違いしやすい具体例
私の経験からいくつか列挙しますのでご参考ください。
・同族会社のオーナー社長やその親族の場合は、給与所得が年末調整により所得税の精算が済んでいて、その同族会社から不動産使用料の支払を受けているケースは、不動産所得が20万円以下でも確定申告が必要となってしまいます。
・不動産を売却しても売却損となり譲渡所得が発生しないケースで、その他の所得で確定申告が不要な人は、確定申告は必要ありません。不動産を売却したら必ず確定申告が必要と勘違いする方や、気持ちが悪いから確定申告するという方がよくいらっしゃいますが、確定申告はそれなりに面倒ですし不要なものは行わず税務署からのお訊ねがくれば必要に応じて答えればよろしいのではないでしょうか?ただし、居住用不動産の売却で譲渡損失が生じかつ一定の要件を満たし税金の還付が受けられる場合は、確定申告した方が得ですのでご注意ください。
・インターネット・オークションで、自分や家族が生活のために使用する、家具、什器、衣服など通常生活に必要な資産(生活用動産)を売却した場合は非課税なので、その他の所得で確定申告が不要な人は、確定申告は必要ありません。ただし、1個または1組の価額が30万円を超える貴石、貴金属、真珠、べっこう、七宝製品や書画、骨董、美術工芸品は課税対象となりますので確定申告が必要な場合もありますのでご注意ください。
ご参考になりましたでしょうか?
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