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異例の事態ようやく収拾か。逓増定期保険の税務上の取扱いの一部改正案、パブリックコメント手続中。

 従来、利益の出た法人の節税に活用されていた逓増定期保険ですが、平成19年3月にその節税効果を制限する通達の改正予定が国税庁から生命保険に伝えられ、ほとんどの生命保険会社は販売を自粛するという異例の事態が続いておりました。それに対して、国税庁は、平成19年12月にようやく、逓増定期保険の税務上の取扱いの一部改正案を公表し、パブリックコメントの手続きに付しています(平成20年1月31日意見募集締切)。

■逓増定期とは

 逓増定期保険とは、保障される期間があらかじめ決められている定期保険で、その期間中に保険金額が少しずつ増えてゆくタイプのものをいいます。

■法人契約の定期保険の税務上の取り扱いと平成8年の個別通達による規制

 定期保険は、いわゆる掛け捨ての死亡保障のみの保険であり、法人が、役員又は使用人等を被保険者として加入した法人契約の定期保険の保険料は、損金となるのが原則です。しかし、保険期間が長期にわたる定期保険や逓増定期保険は、保険期間の前半に支払う保険料の中に相当多額の前払保険料が含まれており、保険料の全額損金処理を認めると、途中で解約すると解約返戻金が発生し、課税所得を繰り延べによる弊害が生じるおそれがあることから、平成8年に個別通達が設けられ、当時販売されていた逓増定期保険の支払保険料について、1/2~3/4を保険期間前半に資産計上し、後半に費用計上するように規制が行われていました。

■新たな商品開発と平成19年3月の改正予定通知と生命保険会社の販売自粛

 しかし、平成8年の個別通達をすり抜けるような新たな商品開発が行われ、保険料全額損金処理ながら一定期間後の解約返戻率が100%を超えるようなものが出現したため、平成19年3月にその節税効果を制限する通達の改正予定が国税庁から生命保険に伝えられ、ほとんどの生命保険会社は販売を自粛するという異例の事態が続いておりました。

■今回(平成19年12月)の個別通達の改正案の公表とパブコメ手続き

 今回(平成19年12月)の個別通達の改正案の公表とパブコメ手続き(平成20年1月31日意見募集締切)により、ようやくそのような異例の事態が収拾に向かいそうです。平成8年の個別通達では、契約満了時の年齢が60歳超でかつ一定基準に該当する場合に保険料の一部を資産計上しなければならないが、改正案では契約満了時の年齢が45歳超の場合に保険期間の前半6割相当の期間は支払保険料の1/2~3/4を資産計上しなければならないとされる方向です。簡単に言えば、法人契約の逓増定期保険の保険料はほとんどの場合に資産計上しなければならないとされる方向です。

■今後の中小企業経営への影響

 改正案が基本的に原案通りに確定するならば、今後は、利益が出た法人が法人契約の逓増定期保険を、課税所得の繰延に利用することは困難になるのではないかと思われます。

 本来、法人契約の生命保険は、あくまでも、代表者等の死亡などのリスクのヘッジ手段であると思われます。過度の課税所得の繰延への利用は、節税額以上のキャッシュ・アウトが当初生じること、保険会社への付加保険料のコストも無視できないことなど従来から問題がある場合もあり、今後は本来のリスクヘッジとしての利用という原点に戻って行かざるを得ず、中小企業経営者の立場からもむしろ好ましいことではないかと思われます。

 しかしながら、課税所得の繰延は無理でも保険料を損金処理できる法人契約の生命保険の節税効果は大きく、法人を設立されたオーナー経営者の方は、生命保険料控除を受けられるのみの個人契約よりも、保険料の損金処理が可能な法人契約を検討されるとよいかと思われます。

 

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