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新バイブルようやく登場。東京地裁破産再生研究会「破産・民事再生の実務 新版」

H200107 H200107_2 H200107_5  破産・民事再生手続に関わるものなら、弁護士ならずとも実務の指針として手許においておきたいバイブルが、2005年1月施行の新破産法の運用を受けて、2分冊から3分冊にスケール・アップして新たに登場です。

 税務会計の観点から注目したいのはやはり新破産法により改正された租税債権の取り扱いです。

■破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権

 旧破産法では、すべて財団債権」(破産手続によらないで破産財団から随時弁済が受けることができる債権)でした。

 新破産法では、破産手続開始当時、納期限(国税通則法35条のいわゆる具体的納期限)が到来していないもの又は納期限から1年を経過していないもののみが「財団債権とされ、それ以外は「優先的破産債権」(破産財団所属の財産について一般の先取特権その他の一般の優先権をもつ破産債権)として扱われることになりました。改正の趣旨は、合理的期間内に徴収権を行使しなかった租税債権と労働債権のバランスの考慮と解されているようです。

■破産財団に関して生じたもの

 旧破産法では、破産手続開始後の原因に基づく公租公課のうち「破産財団に関して生じたるもの」は財団債権とされていました.

 新破産法では、破産財団の管理、換価及び配当に関する費用の請求権に該当するもののみ「財団債権」となり(破産財団所属の資産売却時の消費税等)、それ以外のものは「劣後的破産債権」(破産債権ではあるが、他の破産債権に後れ、一般破産債権が配当を受けた後に限り、配当を受けることができる債権)となりました。改正の趣旨は、旧破産法下の判例の考え方の明文化と解されているようです。

■延滞税、利子税又は延滞金などの附帯税

 旧破産法においては、区別が設けられていませんでした。

 新破産法においては、破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権につき、破産手続開始後に生じる附帯税のうち、延滞税、利子税又は延滞金は、それが財団債権となる本税について生じるたものであれば「財団債権」とされ、優先的破産債権となる本税について生じたものであれば「劣後的破産債権」とされました。また、加算税又は加算金は、破産手続開始の前後を問わず「劣後的破産債権」とされました。改正の趣旨は、利子税は約定利息に相当し、延滞税又は延滞金は遅延損害金に相当すること、加算税又は加算金は本人に対する制裁金的性格を持つことから設けられた区別と解されているようです。

■具体例

 上記の新破産法による租税債権の取り扱いは複雑で何を言っているのかわかりにくいため、新破産法下での具体例を示してみます(ちなみに優先度を念のため確認すると「財団債権」>「優先的破産債権」>「一般破産債権」>「劣後的破産債権」)。

 破産手続開始当時に申告納付納期限(=具体的納期限)から1年を経過した消費税等の本税及び開始前の延滞税は「優先的破産債権」で、開始後の延滞税は「劣後的破産債権」となります。破産手続開始当時に法定納期限から1年以上経過したが納税告知書の送達がなく具体的納期限が到来していない源泉所得税の本税は「財団債権」で、その不納付加算税は「劣後的破産債権」となります。破産手続開始後に破産財団所属の建物を売却した際の消費税等は「財団債権」となります。

 具体例で考えてもやはり複雑です(法定納期限と具体的納期限の相違なんて普段はあまり考えません)。

■実務への影響No.1:破産手続上での租税債権の区分の判定の煩雑化

 上記のとおり租税債権を区分し、支払ってよいか否かを判断するのに、納税義務の成立が破産手続開始の前か後か、具体的納期限がいつ到来したかするのか、破産財団の管理換価に関する費用に該当するか、加算税・加算金かについて慎重にひとつひとつ検討する必要が生じかなり煩雑化したように思われます。

■実務への影響No.2:予想破産配当率の計算上で租税債権の区分が必要となる可能性

 民事再生法上では、清算価値保障の原則と言って、仮に民事再生開始決定時に破産したとした場合の予想破産配当率を上回る再生計画による弁済率が求められます。

 民事再生法上は租税債権は手続の簡素化から一般優先債権として取り扱われ再生手続きによらないで随時弁済を受けることができます。したがって、旧破産法下では、原則として民事再生法の一般優先債権=破産法の財団債権又は優先的破産債権となるため、予想破産配当率の計算もそのように簡便に行っていましたが、新破産法下では租税債権でも劣後的破産債権となるものが生じるようになったため、重要性がある場合にはそれらを区分して予想破産配当率の計算が必要となる可能性が出てきたと思われます。

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