元旦日経1面。「YEN漂流 縮む日本 沈む国と通貨の物語」
「貿易や投資などグローバル化の恩恵を受けているのに経済開放に消極的な日本。一歩進んだかと思えばすぐに改革疲れを口にする日本。YEN漂流。これは迷い沈みつつある国と通貨の物語である。」
同記事は、明治33年(1900年)に国費留学生としてロンドンに渡った夏目漱石が当時の円安による英国の物価高を嘆く様を取り上げ、「ロンドンを訪れる日本人は今、百年前の漱石と同じ感覚にとらわれる。地下鉄初乗り4ポンド(950円)、外食代平均39ポンド(9,300円)・円安と日本のデフレ・低成長がなせるわざだ。」と続けます。
しかし、漱石は帰国後の講演で「西洋を追いかけた文明開化は『外発的』で『上滑り』であっても受け入れざるを得ないと訴えた。」とし、「様々な問題をはらみながらも深化するグローバル経済への対応を迫られる現在の日本にもそれは通じる。」と指摘します。
少し前まで「英国病」とまで呼ばれたイギリス経済がどうしてここまで再生したのか私も注目しておりましたが、昨年11月に「イギリス経済再生の真実―なにが15年景気を生み出したのか 」日本経済新聞社というタイムリーな書籍が発売されています。
同書は、英国の成功については「70年代末から80年代のサッチャー革命とビッグバンに事が始まり、その後も自由・開放路線を徹底できたことが大きな理由、という見方はほぼ定着している。」と説明します。
しかし、「成功事例を必要以上に礼賛するのは禁物だ。」ともし、「配送やオフィス清掃など金融街をめぐる関連サービスも含めると今や英経済の2割近くは『金融関連』で成り立っている」「金融サービス業が納める法人税は英国の法人税収全体の約4分の1」を占める」という金融偏重ともいえる産業構造、「平均で東京の1.3倍」の世界一のロンドンのオフィス賃料が象徴するバブルとも思える不動産ブームなど潜在的な懸念材料も指摘しております。
現在のイギリス経済を日本も見習うべきかとういう点は議論が分かれるかと思います。しかし、「問題が起こると社会の責任というが、社会というモノはいない。いるのは個人と家庭だけ。個人を抜きに政府ができることは何もない」(87年、マーガレット・サッチャー英首相)(同書P30より)という自立自助の精神はわれわれ日本人も見習うべきではないでしょうか。
具体的には、われわれ中小企業経営に携わる者であれば、誰かに頼ることなく1人1人が創意工夫を重ねることにより、収益から費用を差し引いた利益を少しでも多く生み出し企業価値を高めて行くという自立自助の精神が大切であり、日本経済の発展及びよりよい社会の実現につながって行くのではないでしょうか。
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