正に激渋。リヴォン・ヘルム「DIRT FARMER」
1993年の自伝「ザ・バンド 軌跡」で、「5月に学校が休みになるころには、もう綿の植えつけがはじまっている。そのまま9月まではたらきどおしで、休みは7月4日(独立記念日)だけだ。12ぐらいのときに、くそったれトラクターと105度の暑さから逃れるには、ギターを持つしかないと悟ったよ」と語り、「とにかくたしかなのは、ぼくは17のときからいままで、綿畑で働かずにすんだということだ。」と結んだリヴォン・ヘルムですが、ジャケット写真はその故郷アーカンソーのミシシッピー・デルタの綿畑なのでしょうか。
そもそも、ザ・バンドの音楽自体も渋すぎて、私も最近ようやくその良さが理解できてきたところでした。この作品は、1996年に喉頭ガンが発覚し、その治療費のため金銭的にも苦しんでいると伝えられたリヴォン・ヘルムが、自分の原点に立ち返り、フィドルやマンドリンなどをバックにアメリカ南部のトラディショナル・ソングを中心に歌い上げるもので、ワン・アンド・オンリーな正に「激渋」の世界です。
ちなみに、リヴォン・ヘルムの歌う傑作「オールド・デキシー・ダウン」が入っていたザ・バンドの2枚目「ザ・バンド」(1969年)のジャケットは茶色でしたが、この作品のジャケットはセピア色で両者の差(渋→激渋)をよく表しているといえるでしょう。
左から2人目がまだ20歳代のリヴォン・ヘルムですがこの頃でも十分に渋いです。
声は、さすがに病気のせいもあってか、ザ・バンドの頃と比べしゃがれてしまい張りがなくなりましたが、ドラムスとともに生み出されるグルーヴ感は健在です。この作品を聴くと、ザ・バンドの音楽の核はやはりリヴォン・ヘルムだと納得します。
もっとも、あのロビー・ロバートソンのピッキング・ハーモニクスを多用した変なギターが絡んでくるザ・バンドの音楽もまた魅力的なのですが。
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